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肢体不自由教育 No.187
子供が輝く学校行事
本号では、久しぶりに学校行事に焦点を当てて特集を組みました。
卒業式の次第に「別れの言葉」のある学校が多いのですが、その中で卒業生が語ることの多くは学校行事に関わることです。障害の軽重に関係なく、どの子供にとっても学校行事は楽しく、学校生活の思い出の一つになります。
反面、この数年間、どの学校でも行事の精選が検討されてきました。理由は週五日制に伴い、授業時数を確保する必要があったり、在籍する児童生徒の重度化に伴う負担軽減であったり、様々です。
そのような状況の中にあって、各学校では安全で楽しく、学びの多い学校行事作りに向けて多くの工夫をしています。
本特集号では、執筆者の先生方のご協力により、色々な工夫をご紹介することができました。読者の皆様が、学校行事を振り返り、新たな取組をする際に活用していただければ幸いです。
(保坂 美智子)
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- ・巻頭言
- 学校で咲かせた絵への道
- 西尾 真帆
東京都立城南養護学校卒業生 渋谷アートスクール学生
- ・論説
- 学校行事の意義とその展開
- 姉崎 弘
三重大学教育学部教授
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- ・実践報告
- 存在すること・伝えることを大切にした学園祭発表劇
- 山中八千代
山梨県立あけぼの支援学校教諭
実りある修学旅行をつくる
- 天羽 礼子
徳島県立板野養護学校教諭
子供の力を生かし合う学校行事
―登山の計画から実施まで―
- 畠山 信重
長野県栄村立栄中学校長
(前長野県須坂市立相森中学校教頭)
- 特別支援学校(肢体不自由)における体育大会
- 仕入 治美
福井県立福井養護学校教諭
- 元気いっぱい! 運動会
- 宮城 晢子
沖縄県立那覇養護学校長
(前沖縄県立泡瀬養護学校長)
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- ・研究大会報告
- 第32回日本肢体不自由教育研究大会を終えて
- 池田 敬史
東京都立あきる野学園校長
- 研究大会概要
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- ・キーワード
- 特別支援教育支援員とアシスタント
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- ・連載講座
- 肢体不自由児の教科指導(1)
障害特性が教科指導に及ぼす影響
- 一木 薫
福岡教育大学 特別支援教育講座助教
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- ・講座Q&A
- 学級懇談会の進め方
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- ・作業療法の基礎知識3
- アテトーゼ型四肢まひ児の指導(1)
- 関内 美奈子
東京都新宿区立新宿養護学校非常勤講師・ 作業療法士
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- ・ちょっといい話 私の工夫
- 非接触型ICカードで簡単選択
―最新技術を生かす連携―
- 野口 明紀
島根県立松江清心養護学校教諭
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- ・医療的ケアの最前線
- 特別支援学校における医療的ケアの進め方
- 菅野 秋江
東京都立あきる野学園看護師
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- ・特別支援教育の動向
- 学習指導要領の改訂
- 下山 直人
文部科学省初等中等教育局 特別支援教育課 特別支援教育調査官
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- ・読者の声
- 一日、一日の大切さ
- 杉山 翠
東京都立城南 特別支援学校教諭
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特別支援学校(肢体不自由)で初めて教員になり、担当になったのはことばによるコミュニケーションが難しい女の子でした。最初は、歌は大好きで歌うけれど、単純な音声模倣にすぎず、ただ音で遊んでいるだけという印象でした。
「今何を考えている」「好きなことは何」など、その日から、その子をじっと観察し、その子の小さな動きから気持を読み取る毎日が始まりました。すると、目線、身体の向き、発声等、ことばを発しなくても色々な方法で気持を表現してくることに気づきました。教員の目を見つめて「遊んで」という意思を伝えようとすること、気持を落ち着けようとするときは「大きな古時計」を歌うこと、嫌なことが終わったときは「ため息のような発声」をすることなどです。
子供の表出に気づくには、日々の行動観察が大切さであることを、改めて子供から学びました。そして、
子供の自発的な表現方法を伸ばすためには、どのような支援が必要なのかを考えるようになりました。
子供のコミュニケーション能力を育てるためには、発達の方向性・順序性をきちんと把握する必要があり、本誌第183号「特集・コミュニケーション評価と指導」はたいへん参考になりました。コミュニケーションに関して子供がどの発達段階にあるのかを評価し、各段階で獲得すべき内容を参考にして、発達に即した支援の観点を得ることができました。
教員二年目となり、学ぶことの多い毎日です。時にはあせってしまうこともありますが、ゆっくりと成長している子供たちとの日々の実践を大切にしていきたいです。
寄宿舎での国際交流
- 佐伯 安彦
福岡県立福岡養護学校 寄宿舎指導員
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本校寄宿舎では、人権・同和教育部が中心となって新宮高校との交流教育や人権学習を行い、人権学習の中では、卒業生に講師として来ていただいています。
また、進路講演会や国際交流も実施しています。進路講演会では、社会に出てから必要なことや、そのために、在学中寄宿舎ではどのようなことに注意するのか、具体的に日々の生活で気をつけることなどについて、卒業生に自らの体験を基に講演していただきます。
国際交流では、保護者の中に在日中国籍の方がおられたこともあり、その方に講師になっていただきました。まずは中国名での自己紹介の後、挨拶や日常会話など簡単な中国語を教えていただきました。その後、餃子にまつわる中国と日本の文化の違いなども教えてもらいました。
一番盛り上がったのは、みんな一緒の餃子作りでした。生徒たちは顔や体を小麦粉で真っ白にしながら皮作りや具を中に詰めていく作業を楽しんでいました。メニューは焼き餃子と水餃子の二種類です。最後の焼く作業や煮る作業は職員に任せて出来上がりです。その日の寄宿舎の夕ご飯は、もちろんみんなで作った焼き餃子と水餃子がメインでした。自分たちで作ったということもありますが、さすが中国4000年の歴史。とってもおいしかったです。
市販の餃子を食べたことはあっても、皮や具から自分たちで作って食べる経験は初めてだった生徒たちも多く、楽しく充実した経験をしたようです。
このような寄宿舎の取組が、各教科や自立活動とは別の側面から、児童生徒の成長につながるよう願っています。
最後に寄宿舎で焼いているいい匂いにつられて、学校からも飛び入りの先生たちがたくさん参加したことも付け加えておきます。
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- ・図書紹介
- 『コミュニケーションの支援と授業づくり』
『肢体不自由教育の理念と実践』
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- ・トピックス
- 第25回障害児摂食指導講習会、第2回肢体 不自由教育研究セミナー(第2次案内)他
- ・お知らせ
■次号予告
■編集後記
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