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肢体不自由教育 No.192
地域に生きる特別支援学校
今号は特集テーマを「地域に生きる特別支援学校」としました。論説では、地域社会と連携して行う教育活動の意義と課題、そして実施上の配慮事項について論じています。
最初の実践では、総合的な学習の時間の授業を毎年地域と連携して行うことで、地域と学校あるいは児童生徒とのつながりが深まった事例についてを報告しています。次の実践では、工業高校と特別支援学校の互いの強みを生かして行っている学校間交流の取組を報告しています。3つ目の実践では、放課後活動などをサポートする地域のボランティアの組織づくりと活動、そして地域の方々の生きがいづくりの取組について紹介しています。
地域社会の人々と特別支援学校の児童生徒や教職員が顔の見える活動を共に行う中で、それぞれがもつ強みを有効に機能させてこそ、これまでとは違う新たな取組が可能になると考えています。今回の特集が、地域と学校が生かしあう活動づくりの参考になれば幸いです。
(保坂 美智子) |
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- ・巻頭言
- 特別支援学校と地域との連携
- 金城 和子
中核地域生活支援センター・のだネット 地域総合コーディネーター
- ・論説
- 地域と連携した教育活動の意義と課題
- 藤井 茂樹
国立特別支援教育総合研究所総括研究員
- 地域と連携する教育活動の進め方
- 阿部 美穂子
富山大学人間発達科学部准教授
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- ・実践報告
- 地域の人材と資源を活用した授業づくり
- 阿部 太一
青森県立青森第一高等養護学校教諭
- 学校の特性を生かした 交流教育
- 柏谷 明宏
秋田県立秋田養護学校教諭
- 地域に支えられる学校を目指して
―城北サポーターズと放課後活動―
- 和田 喜久男
東京都立墨東特別支援学校副校長 (前東京都立城北特別支援学校副校長)
- ・研究大会報告
- 第33回研究大会を終えて
- 大会会長
(東京都立城北特別支援学校長)
- 研究大会概要
- ・キーワード
- ICF-CY(国際生活機能分類児童版)
- ・連載講座
- 特別支援教育コーディネーター(3)
コーディネーターの仕事の実際と課題
- 保坂 俊行
山梨県立甲府支援学校教諭
- ・講座Q&A
- 偏食への対応
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- ・取組紹介
- 重度障害者が安心して生活できる地域をめざして
- 竹田 保
NPO法人ホップ障害者 地域生活支援センター代表理事
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- ・医療の基礎知識3
- 成長に伴う肢体不自由児の二次障害とその対応(骨折・胃食道逆流症)
- 石井 光子
千葉県千葉リハビリテーションセンター 第一小児科部長
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- ・ちょっといい話 私の工夫
- スイッチ式スクーターボードを利用した持久走大会での取組
- 松永 和子
山口県立防府総合支援学校教諭
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- ・学校保健と医療的ケアの今
- PTA活動における医療的ケア
―学校教育と医療的ケアを考える会―
- 森本 伸恵
埼玉県立日高特別支援学校PTA会長
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- ・特別支援教育の動向
- 神奈川県の支援教育と肢体不自由教育
- 指導主事 立花 裕治
神奈川県立総合教育センター
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- ・読者の声
- Friends
- 中澤 啓治
山口県立防府総合支援学校教諭
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平成20年度から山口県立の盲・聾・養護学校すべてが、原則として5つの障害に対応する「総合支援学校」に移行しました。本校もこの「障害の種別を超えた特別支援教育」という荒波に学校が一丸となって立ち向かっています。他の都道府県の教育関係者からは「良くも悪くも注目される取組」という意見もありました。また、先に総合支援化を進めた京都市立の学校に勤務している知人からは「不安や戸惑いもあったが次第に受け入れられるようになった」という励ましもありました。
改編後の変化を振り返ってみます。環境面では、それぞれの障害に対応した支援機器などが整備されつつあります。われわれ、指導者は、相互の連携・協働体制が深まり、どのような場面でも対応できる知識・技術を得ようとする努力や、さまざまな視点から子供たちを見つめるという意識が充実してきたことを実感しています。子供たちの様子は、肢体不自由児が大人とのかかわりだけでなく、他の障害をもつ子から刺激を受けながら豊かな学校生活を送っています。知的障害児は異なる障害をもつ子に対する優しい心が育ち、自分の感情をコントロールする力が確実に高まっています。
本校では総合支援学校への移行を機に、児童生徒会が中心となり「Friends」というタイトルのイメージソングを作りました。その中に「心ひとつ力をあわせる」というフレーズがあります。この言葉のように、子供たち、家庭、教職員が互いに認め合える関係を築き、「総合支援」が確立されればと願っています。
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- 社会参加・自立に向けた小さな一歩
- 内野 重敏
鹿児島県立鹿児島養護学校教諭
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今年の2月、前に勤務していた離島にある特別支援学校で担任したYさんが「親元を離れてグループホームで暮らしてみたい」という理由で、島から300キロメートル以上も離れた鹿児島市に、独り電動車イスに乗ってやってきました。ホテル予約や飛行機のチケット購入、福祉施設への連絡等をほとんど独りで行ったそうです。高等部卒業後五年が経ちますが、その行動力と行動範囲はさらに大きくなっていました。
そんなYさんに、現在私が勤務している学校の生徒への話をお願いしたところ快諾してくれました。初めて会う高等部の生徒の前で、「今日、靴屋さんで靴を買おうとしてサイズが合うか、店員さんに履かせてもらおうとしたら断られました。どうしても欲しかったので、近くにいたお客さんに頼んで履かせてもらいました」「諦めたら前には進めないよ。困ったときは、周りの人に助けをもらいましょう」と、笑顔で話をしてくれました。
さて、本年度、本校高等部では、社会参加に関する基礎的・基本的な知識を総合的・体験的に習得し、主体的に社会参加できる資質を育成するために、学校設定教科「社会参加」を設定しました。学校設定科目「社会参加基礎」では、自己理解、家庭生活、社会生活・職業生活、社会福祉、進路選択に関して学習をします。学校設定科目「社会参加実習」では、現場実習、現場実習の事前・事後学習を行うことになりました。
本年度はまだ試行期間ですが、先に述べたYさんのように「たくましく生きる力」を身に付けて、卒業後に社会参加・自立できるような授業内容を展開し、生徒と一緒に小さな一歩を踏み出したいと考えています。
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- ・図書紹介
- 『マジカルトイボックスのアイデア&ヒント+77
―障がいの重い子の「わかる」「できる」みんなで「楽しめる」―』
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- ・トピックス
- 第26回障害児摂食指導講習会・第3回肢体不自由教育研究セミナー第2次案内
■次号予告
■編集後記
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