日本肢体不自由教育研究会
 

肢体不自由教育 No.196

実践力をみがく

 巻頭言の「未来への希望」で、西川公司先生からご助言いただいた「未来を切り開く信念と誇りをもち続けたる」ための具体的なあり様が、まさに「実践力をみがく」ことと思います。

 本号の企画・編集会議では、連載している「講座Q&A」で取り上げた事項と重なる内容がたくさん挙げられました。「実践力をみがく」ということは、特集しなくても、本誌を毎号読んでくださる方には、すでにお分かりいただいている内容かもしれません。今回の特集では、だれもが指導の中で「これはどうしたらよいのだろう」と悩んだり、疑問に思ったりすることを中心に編集しました。

 日々の実践を改めて振り返っていただき、実践力をみがく上で、参考にしていただければ幸いです。

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 平成21度の第194号「学校保健と医療的ケアの今」に、インタビューを寄せてくださった岡部彩さんが、ホームページを開いています。多くのみなさんに見ていただきたいとのことです。アドレスは左記の通りですので、是非ご覧になってください。

http://www.rak2.jp/hp/user/112345/

(武井 純子)

 

・巻頭言
未来への希望
西川 公司
放送大学客員教授

・論説
実践力を支える専門性
宮﨑 昭
山形大学地域教育文化学部教授

【実践力をみがくコツ】

編集委員会

○子供と指導
  安全な学校生活
 2次障害としての体幹変形を防ぐための指導 ―Aさんの事例より―
○授業づくり
 生活年齢に応じた高等部における授業づくり
 学部間のつながりを考えた教育計画の立て方
○保護者との連携
 本音で意見が言える保護者懇談会の進め方
 家庭と連携した指導の進め方
○教員研修
 校内研修の進め方 ―同僚間で学び合う《校内研修》の実現に向けて―


・連載講座
摂食指導の基本と実際(2)
食べる機能の実態把握と評価
阿部 晴美
東京都新宿区立新宿養護学校主幹教諭
・講座Q&A
長期休業の過ごし方
・取組紹介
専門性の向上を目指して
―北海道肢体不自由教育専門性向上セミナーの展開―
高橋 和明
北海道手稲養護学校教頭
・基礎知識 《見ることの支援2》
「見ること」への支援の具体的取組
奥山  敬
東京都立北特別支援学校教諭
・ちょっといい話 私の工夫
校内の人的資源とウェブサイトを活用した教材・ 教具の開発
村山 知美
神奈川県立金沢養護学校教諭
・学校保健と医療的ケアの今
特別支援学校における感染症(インフルエンザ) 対策
有本  潔
愛知県立岡崎養護学校養護教諭
・特別支援教育の動向
児童生徒の学習評価の在り方について
下山 直人
文部科学省初等中等教育局 特別支援教育課 特別支援教育調査官
・読者の声
 
3年間を振り返って
島田 加奈子
広島県立広島特別支援学校教諭

 教員になり、3年間が過ぎました。私は、この3年間、重度の運動障害と知的障害を併せ有する子供たちと過ごしてきました。本校では、「よい学習姿勢は、よい呼吸状態、よりよいコミュニケーションにつながる」という考え方を基に学習に取り組んでいます。

 本校に来た当初は、重度の運動障害のある子供に対して、本人たちにとって、わざわざ難しいと思われる姿勢について、重点的に指導していくことに驚きました。

 しかし、周りの先生方に教えていただきながら子供とかかわっていくと、学習時に子供が正しい姿勢を保つことにより、体幹が安定し、対象を視覚的にとらえやすくなったり、自発的に活動しやすくなったりするような場面に何度も出会いました。子供が学習をする中で、学習時の姿勢がとても大事であることに気づきました。ただし、姿勢について指導していくためには、専門的な知識と技術が必要ですし、子供たちは身体に障害があるため、すぐに身につくものではありません。指導が難しいときもあり、子供にとって、今何が一番大切な教育内容なのか見極める力をこれから磨いていきたいと思います。

 また、知的な力や気持の面での成長もとても重要なので、それらとのバランスも上手にとりながら子供の成長の支援をしていけるようになりたいです。そのためには、広い視野をもつことが重要で、本誌の「実践報告」では、様々な学校での取組が報告されていて、色々な考え方や授業実践を知るよい機会となっています。

 教師として、社会人として、そして人間としても未熟であり,失敗ばかりの毎日ですが、子供たちと一緒に、昨日よりは今日、今日よりは明日、と少しずつでも成長していきたいと思います。

・図書紹介
『わたし、生きるからね ―重度障がいとガンを超えて―』
・トピックス
平成22年度金賞・奨励賞決定
現職教員の特別支援学校教諭等免許状の取得について
・お知らせ
第4回肢体不自由教育研究セミナー案内
平成21年度事業報告
■次号予告
■編集後記