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肢体不自由教育 No.202
特別支援学校における食育
今回の特集テーマ「特別支援学校における食育」の編集での最初の壁は、論説の三反田先生の原稿にもある「食育が重要なことは分かるが、『食育』自体が漠然としていて分かりにくい」ということでした。そこで、論説で岡武謳カに一般的な食育について論じていただいた上で、特別支援学校における食育について各先生方の実践をまとめることにしました。
富田先生の実践報告では、個に応じた調理活動を通して、調理や献立作成の技術だけでなく、生徒が自分にもできるという自信と工夫する前向きな意欲を育みました。これは、向井先生の巻頭言にある「食べる意欲は生きる意欲」という言葉にもつながり、食育の重要性が実感できました。
また、今回の実践報告では3本中2本を栄養教諭の先生にご執筆いただきました。栄養教諭による給食指導・食育指導の実践を様々な方に理解していただき、教諭と栄養教諭・栄養職員との連携がより一層進むことを願っています。
(保坂 美智子) |
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- ・巻頭言
- 食べる喜び
- 向井 美惠
昭和大学歯学部教授
- ・論説
- 家庭・学校における食育の在り方
- 岡普@光子
女子栄養大学教授
- 特別支援学校(肢体不自由)における食育
- 三反田和人
和歌山県立紀伊コスモス支援学校長
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- ・実践報告
- 食の自立に向けた食育指導
- 富田絵里子
東京都立城北特別支援学校教諭
- 特別支援学校における「食育」の実際
―栄養教諭としての関わりから―
- 長谷部絹江
千葉県立桜が丘特別支援学校栄養教諭
- 生きた教材としての学校給食
―郷土の味を生かして―
- 中西 智美
鹿児島県立鹿児島養護学校栄養教諭
- ・研究大会報告
- 第35回研究大会を終えて
- 三室 秀雄
大会会長
東京都立光明特別支援学校長
- 研究大会概要
- ・キーワード
- 食育基本法
- 吉川 知夫
上智大学大学院
- ・連載講座
- 障害の重い子供たちの指導(1)
発達の意味理解からはじまる指導
- 川上 康則
東京都立港特別支援学校主任教諭
- ・講座Q&A
- 触覚過敏の子供への対応
- ・取組紹介
- 便利な道具で「できたらいいな」をかなえよう
─ATサポート研究会の活動─
- 谷口 公彦
ATサポート研究会代表・
香川県立高松養護学校教諭
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- ・基礎知識 《重度・重複障害児の健康管理3》
- 環境変化の留意点
- 舟橋満寿子
東京小児療育病院小児科医師
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- ・ちょっといい話 私の工夫
- 自作VOCAの製作と活用
- 魚坂 隆
広島県立広島特別支援学校教諭
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- ・学校保健と医療的ケアの今
- 福祉と医療の連携で
─豊かな人生の支援を目指す─
- 西村 具通
あいほうぷ吹田 生活介護事業主任
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- ・特別支援教育の動向
- 広がる医療的ケア
─介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会─
- 三室 秀雄
東京都立光明特別支援学校長
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- ・読者の声
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- 大切にしたいこと
- 湯田 繁
福島県立猪苗代養護学校教諭
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2011年3月11日、未曾有の大震災。その後、私が住む福島県の様子は、環境、生活、今までは普通だったことのありとあらゆるものが一変してしまいました。特に日本のみならず世界中に広く知られることになった原発のため、多くの被災者が各地にちりぢりになり、その中には特別支援学校の子供や教師も多く含まれています。
年度が変わり、本校にも原発による避難区域から少数ではありますが児童生徒・教師を迎えることになり、一緒に学習しています。
報道を見ると被災地の支援方法には色々とあるものだと感心させられることがあります。しかし、中には十分機能していない、また、被災者には心から受け入れてもらえていない支援もあると聞きます。うまくいっている支援については、被災している地域の実情、さらに言えば家族・個人レベルの要望にあった支援がなされ、一方うまくいかない支援はそのミスマッチによって生み出されているということでしょう。
これは日々の学校生活においても起こっていることだと感じます。教師は子供や保護者の願いを聞いたり、推察したりしながら計画を立て、それに応じた支援を授業の中で実践しているはずなのに、うまくいかないことも多々あるということです。被災地の支援でも、チーム一丸で協力して行うことの大切さが強調されています。学校においても、この部分はとても大切なことだと感じます。子供にかかわる教師や保護者、関係者がチーム一丸となり、子供の願いにマッチした支援を行っていきたいと改めて感じる今日このごろです。
- 子供の輝きを生かした
生活の実現に向けて
- 徳永 光真
静岡県立中央特別支援学校教諭
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一人一人の豊かな生活づくりを目指すにあたっては、個別の教育支援計画の作成と活用が欠かせません。子供の生活像を描くには、身近な家族や教員らが、一人一人の「輝き」(よさや可能性)を見出し、それらを生かした具体的な生活像を思い描いていくことが大切だと思います。その上で輝く方法を考え、必要な指導や支援を、様々な場面でしていくことになります。
私が中学部主事となった昨年度から、「輝き発見!輝き発信!『つながり合いの中学部』」を合言葉に、この考え方に向けて取組み始めたところです。まだまだ一人一人の輝きを意識して見出していこうという段階ですが。
よさや可能性と聞くと、「何かが得意」といったことをイメージするかもしれません。それもその一つですが、それらは例えば興味や物事への関心、見ること、聞くことの力かもしれませんし、仲間と一緒に昼食時に過ごせることかもしれません。輝きの芽は一人一人違います。日常生活の中で当たり前だと思っていることを、一層意識し「これは、輝きなのではないか」と思って見ることで、輝きの芽が多くあることに驚かされます。
例えば、「見ること」に注目すれば、皆と休日に何かを見学しに出かける楽しみにつながるかもしれません。そのためには体調や体力のことも話題になるかもしれません。豊かな生活の実現に向け、そのために必要な支援や指導を、学校や家庭で意識して取組んでみる。一人一人の輝きの発見と、それを生かしながら子供の生活像を描いていく、そしてその実現に向けた取組は、考えるだけでもとても楽しいことです。
このことを、子供達を指導していく上で一層大切に考えていきたいと思っています。
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- ・図書紹介
- 『明日から使える自閉症教育のポイント
─子どもに学ぶ6年間の実践研究─』
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- ・トピックス
- 第28回障害児摂食指導講習会
第5回肢体不自由教育研究セミナー第2次案内
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■次号予告
■編集後記
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