日本肢体不自由教育研究会
 

肢体不自由教育 No.228

生涯にわたってスポーツを楽しむ

 今号は、障害者スポーツを取り上げました。運動やスポーツでは、ついトップアスリートのみに着目しがちです。
 しかし、論説で瀬戸脇氏は、トップアスリートだけでなく「趣味として仲間と楽しむ人、応援することを楽しむ人等、スポーツを多様に楽しむ姿が見られる社会になってほしい」と述べています。また、曽根氏の論説では、体育の授業について「運動やスポーツが好きになることに主眼を置くべき」と述べています。
 好きなことを増やして障害のある児童生徒の生活を豊かにする取組の中で、スポーツが選択肢として浮かぶことがあるでしょう。その際、今号が参考になれば、幸いです。

(保坂 美智子)

 

・写真
土粘土で板作りをして、やきものを作りました

・巻頭言
生涯にわたってスポーツを楽しむ
永野  明
障害者アスリート(ハンドサイクリスト)

・論説
障害のある人々にとってのスポーツの意義と現状
曽根 裕二
大阪体育大学教育学部講師

スポーツを楽しむ豊かな生活に向けて
瀬戸脇正勝
静岡県立静岡南部特別支援学校長

・実践報告
地域に広がるフライングディスクの輪
―あれから五年―
齋藤 隆康
福島県二本松市立岳下小学校教諭
(前福島県立郡山養護学校教諭)
日本障害者フライングディスク連盟 第一種公認指導員

目指すは東京での金メダル
─埼玉ボチャクラブの取組─
吉川 博史
埼玉県立越谷特別支援学校教諭
埼玉ボッチャクラブコーチ

余暇を充実させるための北海道ゴロ野球の展開
―在校生と卒業生の垣根を越えて―
渡邉 憲幸
北海道拓北養護学校教諭

肢体不自由児が知的障害児とともに活動する部活動
柴垣  登
  京都市立東総合支援学校教頭
加藤 颯翔
京都市立東総合支援学校常勤講師


・連載講座
障害の重い人の水泳指導(1)
ハロウィック水泳法
─10ポイントプログラムで水泳を楽しむ─
彦坂 明法
石川県立明和特別支援学校教諭
  (前石川県立いしかわ特別支援学校教諭)
・講座Q&A
舌を突出させる子供の食事の指導

・感覚・運動を育てるための基礎知識 4
実態把握と授業づくりに役立てる 「固有感覚」に関する基礎知識
川上 康則
東京都立青山特別支援学校主任教諭
・ちょっといい話 私の工夫
みんなが主役になれるスポーツ
ハンドサッカーを知っていますか
三室 秀雄
日本ハンドサッカー協会会長
(元東京都立光明特別支援学校長)
・特別支援教育の動向
第59回全国肢体不自由特別支援学校PTA連合会総会および
PTA・校長会合同研究大会(宮城大会)報告
竹内 ふき子
 全国肢体不自由特別支援学校PTA連合会会長

 
・読者の声
 
高校の特別支援教育
高野 陽介
東京学芸大学大学院 連合学校教育学研究科大学院生


 私は、中学3年の夏、プール事故により重度の肢体不自由となりましたが、多くの方々の支援を受け、地元の県立高校に進学しました。振り返ると、私が高校進学できた大きな要因は、両親の努力と、進学への熱意に応えてくれる理解のある先生方に出会えた幸運に恵まれたことです。もし、両親が進学を諦め、熱心な先生方にも出会えなかったならば進学を断念していたかもしれません。
 現在、大学院博士課程で、今までの経験を踏まえ、高校における肢体不自由のある生徒の教育や課題について研究を行っています。現状でも、肢体不自由児が高等学校に入学し、学校生活を送るためには、施設・設備、教科指導、関係者の障害理解など多くの課題があります。小・中学校と比べて遅れはあるものの、インクルーシブ教育の推進や障害者差別解消法施行により高校でも特別支援教育の取組が徐々に行われてきています。
 その中で注目すべきが、高校における「通級による指導」の導入です。現在、高校では特別の教育課程を編成する制度がないため行われていませんが、平成30年度の運用開始を目指し、研究・検討が行われています。一時的にクラスから離れて特別な支援を受けることへの本人の抵抗感など、高校独自の課題もありますが、肢体不自由のある生徒のためにも多様な学びの場の用意は大切です。
 本誌でも、高校在籍の肢体不自由児の教育状況や課題について取り上げていただけたら幸いです。


授業の専門家として

毛利 磨紀
三重県立特別支援学校北勢きらら学園教諭


 学校の西方にそびえる鈴鹿山脈の一峰・雲母(きらら)峰にちなんだ、「きらら学園」という名の本校は、三重県の北勢地域にある肢体不自由校で、平成28年度に創立20周年を迎えました。木造の校舎や体育館は温かみを感じさせ、温水プールは一年を通じて使用することができます。
 本誌は、肢体不自由教育や特別支援教育にかかわる幅広い分野の方の論説や実践報告により、「今、考えること」「取り組んでいること」を端的に読者へ伝えています。研修部に所属する私は、自校の研修や日々の授業実践に参考にすることが大いにあります。
 毎号取り上げられるテーマや執筆者のご所属(学校名)にも注目しています。職員数が100名を超え二部屋に分かれた本校の職員室では、特に共有したいページに付箋をして回覧しています。
 本誌第225号「キャリア教育の充実」の実践報告では、本校の全校研修の概要を掲載していただきました。本校のキャリア教育プランへの取組が4年目となる現在は、集団授業の中で育むキャリア発達を目指し、個別の教育支援計画の重点目標から始まる授業づくりに取り組んでいます。
 授業改善シートや授業の動画を元に、授業者が悩んでいることやアイデアが欲しいことに基づいて、意見が交換できるようにしています。管理職や校内専門家(理学療法士)と共に学部を越えた小チームを作り、互いの立場を認め合う姿勢や対話を大切にし、学校全体の授業力アップを目指しています。
 今後は時間調整等の工夫をして、実際の授業を少しでも参観し合い、意見交換する機会を作りたいと考えています。


・図書紹介
・トピックス
 
■次号予告
■編集後記