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肢体不自由教育 No.230
肢体不自由教育に生かす基礎・基本
本誌の編集には、毎日教室で子供たちと向き合い、指導する現場の教員が多数参画しています。今回の特集では、現場経験がある、または現在も現場で働く編集委員が肢体不自由の基礎・基本について執筆しました。
この仕事をする上で大切な基礎・基本について、自らの実践を振り返りつつ、分かりやすく記すことを目指しました。「基礎・基本とは何か」と、自分自身に問いかけながら自らの実践を振り返ることで、原点に戻り、新たな気持で目の前の仕事に向かうことができました。
みなさんも、新鮮な気持で子供と向き合い、毎日の仕事を楽しんでください。そして、自らの実践を振り返り、文章にしてみてください。本誌では、実践報告や読者の声の投稿を受け付けています。みなさんの実践も教えていただければ幸いです。
(保坂 美智子) |
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- ・巻頭言
- 肢体不自由教育初めの一歩
- 三室 秀雄
東京都教職員研修センター教授
(元東京都立光明特別支援学校長)
- ・解説
- 肢体不自由教育の基礎・基本を学びたい方と、伝えたい方へ
- 編集委員会
- ・基礎・基本
【子供の理解】
- 学習特性を踏まえた子供の理解
- 尾﨑 至
千葉県立四街道特別支援学校教頭
- 観察から始まるコミュニケーション
- 武井 純子
東京都立墨東特別支援学校主幹教諭
- 指導につなげるチーム作り
- 武部 綾子
東京都立水元小合学園主任教諭
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【授業の準備】
- 自立活動の理解
- 北川 貴章
国立特別支援教育総合研究所主任研究員
- 目標(評価の観点)の設定
- 長沼 俊夫
日本体育大学体育学部教授
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【授業の展開】
- 分かりやすい教師の意図の伝え方
- 尾﨑美惠子
千葉県総合教育センター研究指導主事
- 身体の動きを引き出す指導
- 木村 直美
東京都立北特別支援学校主任教諭
- 安全な給食での指導
- 阿部 晴美
前東京都立北特別支援学校主幹教諭
- 次の授業に生かすための評価
- 保坂美智子
山梨県立甲府支援学校教諭
・連載講座
- 教科指導における障害特性を踏まえた指導・支援のコツ(1)
教科指導における手だてと配慮のポイント
- 田丸 秋穂
筑波大学特別支援教育研究センター教諭
- ・講座Q&A
- 進行性疾患の児童生徒
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・コミュニケーション指導の基礎知識 1
初期コミュニケーションの発達
吉川 知夫
国立特別支援教育総合研究所主任研究員
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- ・ちょっといい話 私の工夫
- 重度な肢体不自由のある子どもへのトータルサポート
―みんなで支える体制づくり―
- 大比賀尚子
香川県立高松養護学校教諭
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- ・特別支援教育の動向
- インクルーシブ教育システムの構築に向けた国の取組
- 分藤 賢之
文部科学省初等中等教育局
特別支援教育課
特別支援教育調査官(命)
インクルーシブ教育システム連絡調整担当
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- ・読者の声
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- 子供たちの笑顔あふれる学校生活のために
- 佐藤 智恵
宮城県立船岡支援学校教諭
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本校は、宮城県で唯一の小学部から高等部までを備えた特別支援学校(肢体不自由)です。平成28年度創立50周年を迎えました。知的障がいなどを併せ有する児童生徒も在籍しており、医療的ケアが必要な児童生徒もいます。
私は28年度、初めて医療的ケアが必要な児童の学級担任になりました。児童との信頼関係の構築、同僚や保護者、看護師との連携の大切さ、命を預かる重さを実感する日々でした。
また、医療的ケアに携わるようになり、国の動向や法令を理解しておく重要性をこれまで以上に感じるようになりました。そのような中、対象児童の学習活動について、児童本人が好んで取り組んでいる学習活動を変更しなければならないことがありました。安全面を重視しての判断、法律などの規程が背景にありました。
これまで国の施策や法律などの動向を意識することは少なかったのですが、そうした情報に敏感でなければならないと感じました。
本誌の特集や実践報告等は、貴重な内容ばかりで毎回参考にしています。また、全国の実践に「自分も頑張ろう」と励まされてもいます。27年度に受けた研修の中で「肢体不自由教育の専門性」は、目前にいる子供たちを大切にしていくことで高まっていく、という話がありました。子供たちにとってよりよい学習ができるように学び続け、たくさんの笑顔が見られるように専門性を高めていきたいです。
特別支援教育の専門性
- 田平 博一
宮崎県立清武せいりゅう支援学校教諭
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私は現在、宮崎県立清武せいりゅう支援学校に勤務しています。本校は、宮崎市の南部に位置した、年間を通して、雪の降らない温暖で、自然豊かなところにあります。全国でも少なく、宮崎県においても唯一の肢体不自由単独の障害種の学校です。
本校に勤務して、もうすぐ3年が経とうとしていますが、その間の約2か月、国立特別支援教育総合研究所の「特別支援教育専門研修」に参加しました。その研修のなかで、特別支援教育の基礎的、基本的なことから、最新事情まで多くのことを学ぶことができました。そして、「特別支援教育の専門性」について、今まで以上に深く考えるようになりました。
これまで学んできた「特別支援教育の専門性」に加えて、新たにキーワードとして、これからは「つなぐ、つながる」ことがより一層大切になると考えるようになりました。個々がもつ得意分野や長所を生かしながら、チーム全体で専門性を高め合っていくことができれば良いと思います。それが、これまで培われてきた特別支援教育の専門性を継承・維持・発展させていくことにもつながるのではないでしょうか。
そのような中で、私にとって本誌は、肢体不自由教育に限らず、幅広い分野の情報を得ることができ、たくさんの実践に刺激を受け、様々な場面で活用しています。これからも、誌面をとおして、たくさんの方々と「つながる」ことを大切にしながら、本誌で得た情報と実践とを「つなぐ」ものとして、大いに活用していきたいと思います。
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・図書紹介
- ・トピックス
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■次号予告
■編集後記
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