日本肢体不自由教育研究会
 

肢体不自由教育 No.267

指導に生かす肢体不自由教育の基本

 肢体不自由教育の基本として、押さえるべきポイントを特集しました。併せて四回目となる連載講座「障害の重い子供のコミュニケーション指導」と「初期の育ちの理解と支援の基礎知識」も大切な基本です。読者の皆さんにとって、学びの参考となればうれしい限りです。

 多くの特別支援学校では、チームティーチングによる授業づくりが実践されています。チーム内において、疑問点や意見を出し合い、相談していくことで、一人では知らなかった気づきを得られることはあります。まさに「三人寄れば文殊の知恵」ということわざにもある状況です。

 ただし、チーム内で生まれる子供の指導に係るアイデアの源泉は、これまで各自が学んできた「基本」によるものが大きいと考えます。基本ができないと、応用はできないとも言われます。やはり、基本の内容は、先輩のまねをしているだけでは成長はなく、いかに自分で学ぶかが重要になるでしょう。

 これからも子供たちの笑顔のために、肢体不自由教育の基本を学び続けてください。

(尾ア 至)

 

・巻頭言
肢体不自由教育に求められる専門性
泉 愼一
東京都中部学校経営支援センター支所
学校経営支援担当課長


・特集 指導に生かす肢体不自由教育の基本
特集のねらい 肢体不自由教育の基本を理解して指導に生かす

障害の特性を理解して指導につなげる
―姿勢や運動・動作の特性を中心に―
北川 貴章
文教大学 准教授

障害の特性を理解して指導につなげる
―感覚や認知、コミュニケーションの特性を中心に―
杉林 寛仁
国立特別支援教育総合研究所 主任研究員

教科指導における留意事項と指導の工夫
原川 健一郎
東京都東部学校経営支援センター 統括学校経営支援主事

重複障害のある児童生徒の教科指導
長沼 俊夫
日本体育大学 教授

重度・重複障害のある子供の指導
松浦 雅子
千葉県立矢切特別支援学校 校長

安全で楽しい食事であるために必要な指導
阿部 晴美
地域ケアさぽーと研究所 外部支援員

小学校等で学ぶ児童生徒の多様なニーズへの指導
保坂 美智子
山梨県立わかば支援学校 ふじかわ分校 教諭

対話で築く保護者と学校の信頼関係
立花 裕治
神奈川県立鎌倉支援学校 校長

他職種との連携・協働の進め方
コ永 亜希雄
横浜国立大学 教授


・連載講座 障害の重い子供のコミュニケーション指導 (4)
写真や絵カードによるコミュニケーション
三室 秀雄
元東京学芸大学教職大学院特命教授
・〈基礎知識〉 初期の育ち(感覚と運動)の理解と支援の基礎知識 4
感覚と運動がつながっていく過程の理解と支援
冨澤 佳代子
淑徳大学発達臨床研究センター研究員
・ちょっといい話 私の工夫
自信や意欲を育む工夫
―高等部作業学習の取組―
齋野 亮太
山形県立ゆきわり養護学校教諭
・特別支援教育の動向
「第70回全国肢体不自由教育研究協議会」(熊本大会)の報告
冨永 佐世子
第70回全国肢体不自由教育研究協議会熊本大会実行委員長
熊本県立熊本かがやきの森支援学校長
・各地の特別支援教育〈三重県〉
地域と連携したインクルーシブスポーツ推進の取組
大杉 成喜
皇學館大学 教授
・図書紹介
感覚と運動の高次化理論に基づく教材の活用とかかわりの視点

■次号予告
■編集後記