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平成23年度金賞・奨励賞決定

選考委員会委員長 西 川 公 司
(特定非営利活動法人 日本肢体不自由教育研究会副理事長)

 

 平成23年度の金賞・奨励賞の選考委員会は、日本肢体不自由教育研究会の事務所で、5月7日に行われました。選考対象は、本研究会の機関誌「肢体不自由教育」の第195号と第197号から第199号に掲載された15の実践報告です。

 選考に先立ち、平成23年10月10日から2年間委嘱した本研究会の評議員27名(肢体不自由教育第196号63ページ掲載)に、予備選考を依頼しました。24名の評議員から回答があり、その評価結果も選考の際の参考資料としました。

 選考の観点は、
① 肢体不自由教育への貢献度
② 独創性
③ 指導内容・方法の充実
④ 実践・研究の積み重ね
の4点です。

 今回金賞・奨励賞を授賞された実践報告は、評議員と選考委員の評価結果が、いずれも高かったものばかりです。選考の結果、平成23年度の金賞・奨励賞は、次のように決定しました。

金 賞
「自立活動との関連を明確にした教科指導
―認知特性に焦点をあてた国語科の授業づくり―」(第197号)
筑波大学附属久里浜特別支援学校教諭(前北海道網走養護学校教諭) 小倉 靖範
 
奨励賞
「障害の重い子供における三項関係の形成をめざした実践
―学習到達度チェックリストを活用して―」(第195号)
千葉県立銚子特別支援学校教諭 古山 勝
 
『「楽らくスタイル」で社会参加―地域と心をつなぐ
「おしゃれで機能的な衣服」の制作を通して―』(第198号)
愛知県立一宮養護学校教諭 山口 美香
 

 今回選考の対象となった実践報告は、どれも内容が分かりやすくまとめられており、質的にも高いものが多くて、読み応えのあるものでした。ただし、肢体不自由教育第199号で特集した「個別の教育支援計画」の実践報告については、残念ながらそれほど高い評価を得たものはありませんでした。「『個別の教育支援計画』を活用した保護者との連携」の実践を報告した岡本氏が指摘しているように、一人一人の児童生徒とその家族、教育、福祉、労働等の関係者が「顔の見える関係」となり、今後必要な時に必要な支援が適切に行われるようになっていくことを期待したいと思います。

 金賞・奨励賞の選考の概要は、次のとおりです。

 金賞の候補には、小倉氏と古山氏の実践報告が上がりました。両者の実践報告は、各種の検査等を活用しながら児童生徒の実態を明らかにしている、授業づくりの際に自立活動との関連を図っている、きめ細かな指導段階に基づいた授業を展開している、指導の経過や評価を丁寧にまとめている点などが、高く評価されました。どちらの実践報告も優れたものでしたが、小倉氏の実践の方が、各学校の参考になるのではないかということで、金賞に決定されました。

 山口氏の実践報告は、単なる高等学校との交流及び共同学習にとどまらず、地域の繊維関連機関による新素材の布地やユニバーサル・ファッションの開発に結び付いている点などが評価されました。

 なお、「地域の特色を生かした交流及び共同学習」を特集した肢体不自由教育第198号の実践報告は、力作ぞろいでした。障がい者制度改革推進本部が求めている、可能な限り障害のある児童生徒が障害のない児童生徒と共に教育を受けることができるようにしていくためにも、古賀氏が著した「肢体不自由特別支援学級での『交流及び共同学習』の取組」は、貴重な実践報告でした。

(選考委員会委員長 西川 公司)