この本は、自立活動の「教科書」として、子供たちとともに読み、学ぶことを想定して作られた本です。
「わたしたちのうんどう」改訂版
NMBP(Nakamura Movement Basic Program:中村うんどう基礎プログラム)は、2007年度から横浜市立中村特別支援学校で行っている「うんどう」指導の研究により、2009年に作成したプログラムで毎年改訂しています(NMBPの詳細は本誌216号の特集「自立活動の指導」の実践報告「NMBPに基づく集団的指導―自立活動に教科書は必要か―」を参照)。この本は、2012年ジアース教育新社発行の、「わたしたちのうんどう」の改訂版です。
第Ⅰ部基礎編は、「手の学習」などの身体部位や、「肘立て位の学習」などの姿勢に関する学習を説明しています。第Ⅱ部展開編は、「移動〜からだを動かしてみよう」「操作〜手を使ってみよう」「言語〜声を出してみよう」の、3章構成です。第Ⅲ部実際編は、第Ⅰ部や第Ⅱ部で説明した学習を、「全身が反り返ってしまうとき」「手で素材をふれたり道具を持つとき」など、日常生活や授業場面で組み合わせる例を示しています。
Point部分の加筆で、さらに指導に生かしやすく
3部とも、学習の手順をイラスト付きで説明しています。児童生徒と一緒に読む部分に加えて、「Point」として大人向けにかかわりのこつを説明しています。例えば、最初に登場する「手の学習」では、最初に大人向けのねらい《感覚器としての手を育てる》を示した後、「手でさわってみると、目で見るよりもずっと、それがどんなものなのかを知ることができるんだ。」などの子供向けにその学習の意義を示しています。
その後、「①指全体と手首を感じよう」「手を乗せてみよう。手の指全体を感じてごらん。」と、子供向けにイラスト付きで学習内容を説明し、大人向けには、「子どもの手をかかわりての手の上にのせるようにする。また、手首を包みこむようにする。」と学習の要点を示しています。この「Point」部分は、改定前と比べて追記が多く、より分かりやすくなっています。
「NMBPの理論と実際」と合わせた活用を
とはいえ、「教科書」を利用するには「解説書」を手元に置き、プログラムの考え方や理論と実際について理解する必要があります。別冊で発行している「NMBPの理論と実際―自立活動の方程式―」でプログラムの考え方等について理解を深め、また、DVD「NMBPの実際」で学習の指導の様子をご覧になった上でのこの本の活用をおすすめします。
(山梨県立甲府支援学校 保坂 美智子)
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