全7章、100を超える挨拶文例で構成された本書は、一人の前特別支援学校長の珠玉の思いと語りがたくさん詰まっています。
第1章 学校の紹介
学校は歴史を刻み、その歩みを年表として記録に残し、現在の課題をとらえて目標をたて、前に進みます。
学校紹介の挨拶では、これらのことを単に事実の羅列として紹介するのではなく、時代の変遷と情勢の変化の中で生き続けてきた、学校の姿が想起できるように工夫していることが分かります。
第2章は、児童生徒への話
年間をとおして、学校生活の節目や特別なイベントがあるときに、校長の話があります。児童生徒へ語りかけることで、その節目やイベントはどのような意味があるのか、児童生徒自身が考え、実感できることを大切にする意図が伝わってきます。
もう一つは承認です。「すべての児童生徒を承認する」という、子供を尊重する構えがよく分かります。スピーチの前にクラシック音楽を流すなど、ユニークな取組も紹介されています。
第3章 保護者への話
広報誌など文書による挨拶と、会合等における口頭での挨拶が紹介されています。保護者を支え、時に励まし、時に協力を仰ぎ、子供を一緒に育てていこうとする学校の姿勢が感じられます。
第4章は、教職員への話
本書の中で一番多くのページを割いています。学校の現在の様子をとらえ、時代の流れと課題を見極め、問いかけ、分かち合おうとする、組織の経営者として、教職員に対する筆者の熱い思いが伝わってきます。
第5章 研究協議会・講演会の参加者への話
イベントを企画した意図や、開催して得たことについて要点を明確にした挨拶、という印象をもちました。課題解決に向けてしっかりと前に進もうとする姿勢が伝わってきます。
第6章 地域のみなさんへの話
学校だよりに掲載した挨拶文が、8つ紹介されています。いずれの挨拶文にも写真が載っています。児童生徒が、地域で学んでいることを理解してもらうために工夫をこらしていて、共生社会を目指す思いが伝わってきます。
第7章 教育実習やボランティア学生への話
未来を担う学生に対して、あたたかく見守り、応援する姿勢が伝わってきます。
校長の挨拶は、個人としての思いや考えを超えた、学校の組織としてのビジョンやミッションでもあります。本書を手に取った方は、校長の挨拶に対する考え方や受け止め方が変わるかもしれません。
(編集委員会)
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