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自立活動の理念と実践
──実態把握から指導目標・内容の設定に至るプロセス──

古川 勝也・一木 薫 編著
 

A4判 212ページ

定価 本体価格2,200円+税 ジアース教育新社

 編者は、冒頭で「…子どものたちの実態は多様ですが、自立活動の視点で子どもの実態を理解し、自立活動の指導の計画を立案する手続きは、障害の種類や程度にかかわらず共通です。」と述べています。また、「自立活動の指導について理解したい」「子どもの実態に適した自立活動の指導をしたい」などの思いを抱く先生方に対して本書を作成したと記しています。  特別支援教育は、特別支援学校だけでなく、小・中学校の特別支援学級や通級指導においても行われており、今後は、高等学校でも通級指導で実施されることとなります。特別支援教育を担う教師は、ますます自立活動の視点で子どもの実態を理解し、自立活動の指導を行う力が求められているのです。  編著・著者らは、冒頭で述べていることを、先生方に理解してほしいとの願いと期待をこめて、本書で様々な手続きや事例を紹介しています。 第1章 自立活動とは  第1章では、自立活動の指導の目的や創設に至る経緯、特別支援学校における自立活動の指導の現状と課題について述べています。また、各教科と異なる自立活動のカリキュラム構造や、実態把握から指導目標の設定に至る手続きについても説明しています。   第2章 自立活動の授業づくり  第2章では、自立活動の指導の考え方や授業づくりの手続きについて説明しています。 第3章 事例で理解を深める個々の実態に応じた指導目標・内容の設定  第3章では、その手続きを事例に即して具体的に説明しています。視覚障害、聴覚障害、自閉症、知的障害、肢体不自由など、20の事例を取り上げ、①実態把握、②課題の抽出、③課題関連図、④指導仮説、⑤設定した指導目標、⑥指導目標を達成するために必要な内容の選定と指導内容の設定の、6つの手順で整理しています。事例を考える上でのポイント、1年後、3年後の姿も記載され、経験の浅い先生方も見通しがもてる内容となっています。 第4章 自立活動の力量形成を図る「学びの場」  第4章では、教師の成長を支える役割を担う、校内や教育センターの研修、教師の自主的な研修を紹介しています。教師の成長を想定し、研修対象や内容をどのように工夫するとよいのかを取り上げています。  さらに資料として、学習指導要領、自立活動の実態把握チェックリスト、個別指導計画も掲載されています。これらを参考にすることで、理解が深まると思います。  本書は、自立活動の指導を正しく理解し、子どもたちの確かな学びが実感できる授業へと、つなげていくことが期待できます。手元に置いて、ぜひご活用ください。

(東京都立北特別支援学校 木村 直美)