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よくわかる 子どものリハビリテーション
栗原 まな 著 |
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A5判 94ページ |
定価本体1,400円+消費税 |
クリエイツかもがわ |
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肢体不自由教育を取り巻くこと
肢体不自由教育に必要な知識や技能は、教育の分野だけではなく、医療、福祉の分野にもまたがり、多岐にわたります。
疾病のこと、疾病による障害の特性のこと、医療的ケアに関すること、摂食指導に関すること、子どもたちが日常で使う車椅子や補装具などのことなど、挙げればきりがありません。どこの学校でも、肢体不自由教育の専門性を向上するための研修として、これらのことに関して様々な研修を行っていることと思います。
子どものリハビリテーション
本書は、肢体不自由教育に携わる教員のみに向けて書かれたものではありません。リハビリテーションを必要とする子どもの家族、施設や学校関係者のために書かれた入門書です。
神奈川県総合リハビリテーションセンターの小児科医師である著者が、子どものリハビリテーションは、大人のそれとは違って、発達が見られること、家族の関わりがより大切であることなどを踏まえて、執筆しています。
対象も、肢体不自由を伴う疾病についてだけではなく、神経発達障害も取り上げられています。
研修のテキストとしても
私は、勤務校に介護等体験で来た大学生に、脳性麻痺について説明するときに、本書を活用しました。「第3章 疾患別のリハビリテーション」の「1 脳性麻痺」の項のみを、一緒に読みました。
まず、脳性麻痺の定義、原因と頻度など、ごく基本的なことが示されています。短下肢装具、長下肢装具などの写真が掲載されているので、言葉では伝えきれない点も、分かりやすく説明することができました。
「5 リハビリテーション」の項には、理学療法、作業療法、摂食嚥下療法、言語聴覚療法、心理療法について、端的な説明があるので、学校で行っている指導も、これらの療法を参考にする場合が多いことなどを、伝えることができました。最初のページからではなくても、必要なページだけを見ることもできるように、章ごとにまとまった構成になっています。
本書を、障害のある子供に携わり始めたばかりの方の入門書として、お勧めします。この本で、障害のある子供を取り巻くことには、どのようなことがあるのかを学び、さらなる学びを深める出発点にできるとよいと思います。
(東京都立墨東特別支援学校 武井 純子)
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