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肢体不自由教育における子ども主体の子どもが輝く授業づくり
―PDCAサイクルをつくる「活動分析」と「評価」―
飯野 順子 編著 |
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A4判 181ージ |
本体価格2400円+税 |
ジアース教育新社 |
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障害の重い子どもたちの授業づくり、授業改善にはどのようなポイントがあるのでしょうか。本書を編集した飯野氏は、その「まえがき」で、現在の授業改善の課題は「評価」をどのようにするかである、と述べています。障害の重い子どもたちの授業づくりにおいて、目標設定の難しさ、またその目標を達成できるような活動・指導内容設定の難しさ、そして授業を実践した結果の評価の難しさを感じたことのある読者は、少なくないと思います。
本書は、「子どもが主体的に活動し、子どもの学ぶ喜びと変容を促す授業が展開できた」とされる、活動分析を取り入れた授業改善について、その理論と実践が紹介されています。
活動分析と評価
第1章では、授業づくりのPDCAサイクルの中に、活動分析を取り入れることについて述べられ、その実際が示されています。
飯野氏は授業づくりに関して、①子ども自身が「何を学ぶのか」、教員自身が「何を学ばせたいのか」を明確にした目標設定と学習内容を設定すること、②子どもの変容を把握できる活動を分析し(「活動分析表」の作成)、記録し、評価し、授業改善をすることに、これまで力を注いできたとしています
「活動分析」と言うと、一見難しく感じられますが、飯野氏は「先生の頭の中には、活動分析のような視点があり、授業を展開しています。この視点を『見える化』することです」と述べています。授業が「楽しかったね」や「頑張ったね」だけで終わらないよう、子供の確かな学びにつながるように、学習活動をスモール・ステップで分析して、表にするのです。
このような活動分析表は、障害の重い子どもの授業で展開されているティーム・ティーチングにおいても、重要な役割を果たします。複数の教員に共通の授業改善の手法(ツール)となるわけです。
飯野氏は、「活動分析表」による授業改善を「実践の知」であるとしています。「PDCAサイクル」の視点から「活動分析表」を捉えると、P(計画を練る)とC(評価する)が同一の項目で構成されることが効果的であり、そのことにより、指導と評価の一体化を図ることが可能となります。
子ども主体の子どもが輝く授業
第2章では、飯野氏が参加した「公開授業研究会」の研究成果や、子ども主体の授業実践として、生活単元、音楽、図画工作、国語、算数などの事例が紹介されています。それぞれの執筆者が、子どもの主体的な学びを目指して、どのように目標を立て、指導内容を計画し、実践し、評価しているか、その過程が描かれています。読者は自分の担当する子どもを思い浮かべたり、うなずいたりしながら読むことができるでしょう。
一読すれば、改めて授業づくりに励もうと思うようになる一冊です。
(東京都立水元小合学園 武部 綾子)
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