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植草学園ブックス特別支援シリーズ7 「各教科等を合わせた指導」エッセンシャルブック 子ども主体の学校生活と確かな学びを実現する「リアルの教育学」
名古屋恒彦著 |
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A5判 162ページ |
本体価格2,000円+税 |
ジアース教育新社 |
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題名に「各教科等を合わせた指導」とあり、読者の中には、縁遠いと感じる方もいるかもしれません。私自身、今年度は特別支援教育コーディネーター、中学部技術・家庭科及び高等部家庭科の教科指導が主な職務で、「各教科等を合わせた指導」にほとんど携わらない日々を送っています。しかし、そのような状況下で読んでも、本書は、学ぶところが多い一冊でした。 これから示す私の読みは、「『各教科等を合わせた指導』を愛する教師」である著者の意図とは少しずれていると思います。それでも、「異なる考えに自分の考えを晒し、その上で自分の考えを精錬する。」との名古屋先生の言葉を支えにして述べます。
「主体的・対話的で深い学び」の再考
現在、各学校では、新学習指導要領についての理解を深めつつ、実践がなされています。本書の冒頭でも、新学習指導要領を踏まえた知的障害教育について述べられています。例えば、「対話的な学び」を実践する上での留意事項として、「人と人とが話し合う」などの表面的な行為に矮小化されないように、ということが示されています。 具体的には、作業学習等で黙々と働く姿には言葉による「対話」は見られないが、同じ目標を目指し、互いに意識し、支え合いながら仕事を進める姿に、本質的な「対話」がある、との考え方です。さらには、教材など様々な外界とのやり取りを通して学び成長することを、「対話的な学び」とする考え方です。 また、「主体的な学び」に関しても、授業における「ふり返り」が重要であると述べています。学習活動自体に主体的に取り組むだけでなく、そこでの知識・技能等の発揮や主体性を次の学習にも意欲的に発揮するために、「ふり返り」の重要性を示しています。
「できる状況づくり」とは 著者の恩師である小出進氏が提唱した「できる状況づくり」論についても、紙面を割いて解説しています。「精一杯取り組める状況」と「首尾よく成し遂げられる状況」の両方が満たされる状況を、「できる状況」と定義します。その上で、このできる状況を、一人一人に的確に用意することが重要だとする考え方です。今でいう環境調整の重視ですが、簡単すぎず難しすぎない環境設定が、主体性を発揮して自立的な生活をつくる上で重要だ、と述べています。
「教科別の指導」の中でも 現在私が担当している家庭科の教科の特色によるかもしれませんが、上記で紹介したことを含めて、本書の様々な説明が、私には日々行っている教科別の指導においても十分に参考になりました。題名にとらわれずに、ご一読いただき、確かめていただければ幸いです
(山梨県立甲府支援学校 保坂美智子)
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