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適切行動支援PBSスタディパック
―知的障害のある人の行動障害を減らす支援スキルを学ぶために―
英国行動障害支援協会原著 清水直治監訳 ゲラ弘美編訳 |
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B5判 60ページ |
本体価格2,700円+税 |
ジアース教育新社 |
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本書は、行動障害のある子どもたちが学校や家庭で、一貫して適切な支援を受けられることを目的に、英国行動障害支援協会が開発した教材を翻訳したものです。「支援者用テキスト」と「スパーバイザー用指導の手引」「DVDビデオ」で構成されています。
本書は、特に重度の知的障害のある子どもや大人の教育や生活支援に携わる方々を対象としていますが、発達障害や軽度の知的障害、自閉症スペクトラム障害のある人への支援にも活用できるものとなっています。学習にあたって、現在支援している行動障害のある人を思い浮かべ、その人の行動上の課題が解決できるよう、「ステップ1 ビデオを見る」「ステップ2 説明を読む」「ステップ3 練習問題に答える」と段階を分け、学習を進めやすくしていることも本書の特徴です。現在支援している人の行動記録や支援の方法などを記入できる欄があり、記入例も合わせて記載され、行動上の課題解決に向けた方策を考えやすくなっています。
行動障害とは
本書は、支援の段階に応じて、パートAとパートBに、大きく内容が分けられています。パートAでは、行動障害とは何か、なぜ問題だとされる行動を起こすのか、なぜ同じ行動を繰り返してしまうのか、読者が事例を基に考えていけるように構成されています。行動観察の視点も示されているので、学習を進めやすくなっています。行動障害についての理解を深めやすいように、分かりやすく解説がされています。巻末に付録として用語解説が付けられているので、読者の理解を助けやすくなっています。
なぜ行動障害が起こるのか、その理由と目的を調べる方策として、ABC(行動の観察・記録)チャートが紹介されています。
適切行動支援
パートBは、パートAで学んだ行動障害に関する内容を基に、行動障害のある人の生活全体を考えながら、新しいスキルを教えるなど、支援の仕方を組み立てる構成になっています。パートBの最後には、行動支援計画の例が掲載されています。
行動障害は段階を追って爆発に向かう傾向があるため、対処にあたって「交通信号システム」になぞらえた爆発曲線(「緑信号:落ち着いている」「黄信号:不安・興奮」「赤信号:爆発」「青信号:落ち着きを取り戻す」)を参照して支援すると、支援者が危険を負うことなく、どのように支援に入ればよいか、判断が容易になると書かれています。行動障害のある人の支援にあたる上で、とても分かりやすい例えであると思いました。
学校で指導に当たる上で、子どもの行動上の問題をどのように解決していくのか、悩んでいる先生方も多いと思います。ぜひ本書をお読みいただき、日々の実践に役立てていただきたいと思います。
(東京都立城東特別支援学校 熊井戸佳之)
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