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「自立活動の指導」のデザインと展開
―悩みを成長につなげる実践32―

北川貴章・安藤隆男 編著
 

B5判 175ページ

本体価格2,100円+税

ジアース教育新社
「自立活動」の指導
自立活動は、特別支援学校だけでなく、通級による指導や特別支援学級で学ぶ児童生徒に対しても、必要な指導であることが示され、自立活動を行う場は拡大しています。自立活動の指導に関して、「どのように授業を計画・実施していけばよいか分からない」「指導方法や指導内容が子供の実態に合っているか不安」など、様々な悩みを抱えている人は、たくさんいると思います。本書には、自立活動の指導に関する悩みの解決につながるヒントが詰まっています。
本書は、理論編と実践編から構成されています。自分の興味・関心やキーワード、具体的な悩みから事例を探すこともできます。

「自立活動」の理解を深める
第1章理論編では、学習指導要領の改訂を含め、近年の特別支援教育の動向を整理しつつ、自立活動についての理解を深めることができるようになっています。自立活動の目標や内容、個別の指導計画の作成と内容の取扱い、自立活動の理念や教育課程上の位置付け等の基本事項が整理されています。
そして、実態把握に基づいて指導目標、指導内容を設定し、実際の指導に至る授業をデザインする過程に着目しながら、自立活動の指導の進め方について理解を深めることができます。
本書のタイトルにもある「授業のデザイン」とは、なぜこのような自立活動の授業を行うのか、説明できる根拠を検討することであり、自立活動の指導は、授業のデザイン、授業の実施、授業の評価・改善のプロセスを確立して取り組むことが重要だと言えます。

事例から学ぶ
第2章では、実践編として、32の指導事例が紹介されています。具体的な悩みから指導事例が探せるように、「悩みリスト」があり、30に分類された悩みから、読者は自分の悩みの解決につながる事例を探すことができます。事例の指導内容は多岐にわたっていますので、読者の悩み解決の参考となる事例が探せるでしょう。

教師の成長のために
本書の中で、編著者の安藤先生は、自立活動の指導に当たって教師はその考え方を理解し、一人一人の子供の学びの履歴や教育的ニーズに応じた授業を具現する明確な「意志will」と「方略(知識・技能)」を有することが大切だ、と述べています。そして、理想の教師への「意志」をもって行動を起こすことこそ、教師の「成長」につながるとしています。
本著は、自立活動の指導について悩む教師に、多くのヒントを与えてくれることでしょう。自立活動の指導にかかわる全ての人に、ぜひ読んでいただきたいと思います。

(国立特別支援教育総合研究所 吉川知夫)