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肢体不自由教育における子ども主体の子どもが輝く授業づくり 3
―生涯にわたって学ぶ喜びを創る授業づくり&生命輝く医療的ケアを―
飯野順子編著 |
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B5判 203ページ |
本体価格2,500円+税 |
ジアース教育新社 |
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本書は、シリーズの三作目で、今回は、卒業後の学びの実践も紹介しています。子どもたちは、いくつになっても、学びたい、学ぶ喜びが生きる原動力になっていると、筆者は述べています。学校時代に身に付けた力を土台に、生涯にわたって学ぶ意欲や喜びが得られる力を付けることが、学校の使命であり、そのための授業創りを学ぶことができます。
第1章 生涯にわたって学ぶ喜びを創る授業づくり
本章では、筆者が、助言する際に強調してきたことを三点述べています。
@完成度の高い授業を目指すことの大切さ、A学校に授業の「スタンダード」を創ること、B子ども主体の子どもが分かる、しかけの多い授業を展開することです。
その事例を、七つ紹介していますが、中でも、指導教諭が授業を取材し、情報を発信する「授業巡回通信」、一人の生徒を取り上げ、報告した「一二年間での一貫した指導に向けて『自立活動の指導で育てたい力』の整理」の視点がとても参考になりました。
第2章 生命輝く医療的ケアを
本章では、医療的ケアの必要な子どもの「学びたい」という願いを叶えることが学校の役割であると述べ、学校における教育的意義を明確にしています。さらに、医療的ケアを自立活動につなげるカリキュラム・マネージメントの視点でとらえることが大切であるとしています。
一節では、@学校看護師からの報告、A医療的ケアを日常生活や授業の中に位置づけた、二年間の取組と変化、B医療的ケアを安全に進めるため、教職員の連携とポジショニング装置の提案を紹介しています。
二節では、新たな施策として、@人工呼吸器管理モデル事業と医ケア専用通学車両の運行、A学校における高度な医療的ケア実施体制構築事業、高度な医療ニーズに対する実践を紹介しています。
三節では、平成二十九年文部科学大臣からのメッセージ「特別支援教育の生涯学習化に向けて」が発信される以前から、障害のある方々への学校卒業後の生涯学習の、様々な取組を紹介しています。
@重い障害のある方の自宅で学習を行う「訪問カレッジ@希林館」の取組、A障害の重い方の想いを、支援機器を使って形にする「訪問大学おおきなき」の取組、B青年期の利用者のニーズに応える大学活動、秋津療育園リハビリテーション室による「欅大学」の取組を紹介しています。
四節では、医療的ケアの歴史に携わった方々の、「遺したい言葉」「伝えておきたい」言葉を紹介しています。
本書で医療的ケアの歴史を学び、日々の授業が、子どもたちの生涯にわたって生きる原動力となることを全ての教員に理解してほしいという、著者の願いと期待がこめられています。本書を手元に置いて、ぜひご活用ください。
(東京都立北特別支援学校 木村直美)
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