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本人参加型の「自立活動の個別の指導計画」
―理解度チェックと指導計画の様式―

三浦 光哉 編著
 

B5判 213ページ

本体価格2,530円(税込)

ジアース教育新社
従来の「養護・訓練」が目標、内容ともに見直されて「自立活動」と改められ、二〇年以上が経ちました。それでもなお「自立活動の指導に自信がない」「どうしてよいか分からない」という学校現場の先生方の悩みは、尽きることのないように思います。本書はこれらをふまえて、「自立活動のわかりやすい参考書」としてまとめられたものです。具体的な指導計画の様式が提案され、これに基づいた事例が紹介されて、実際の子供や指導をイメージしやすい内容となっています。

自立活動の自己チェック表と疑問・悩みのQ&A
第一章は「自立活動の自己チェック表」が示され、読者が自身の自立活動の理解度をチェックできるようになっています。そして、自立活動の間違いやすい、勘違いしやすいパターンが、八点示されています。例えばパターン4には、「自立活動の指導目標・指導内容が教科等での指導目標・指導内容と混同している」といった記載があります。読者にとっては、果たして自分の学校はどうなのかを、振り返ることのできる内容です。
第二章は、自立活動Q&Aとして、学習指導要領に基づいた解説がなされています。Q1は「自立活動は、どのような児童生徒に実施するのですか?」から始まります。二一個のQ&Aは、自立活動の基本的な内容ですが、よくある疑問や悩みに答えてくれるものでもあります。

本人参画型の「自立活動の個別の指導計画」の様式と作成手順
自立活動の学習指導要領解説には、児童生徒の実態把握から具体的な指導内容を設定するまでの流れの例(流れ図)が、示されていることをご存知の読者も少なくないと思います。
第三章では、自立活動の指導が計画のみに終わることなく、その後の実践、評価、改善の流れが一体化されることを目的として、学習指導要領解説に示されている流れ図に、オリジナルの項目を付け加えた、個別の指導計画の様式を提案しています。また、本人が自立活動の学習を理解できるよう、本人用の自立活動シートを示しています。そして、第四章では、この様式を用いた指導事例が、二五事例紹介されています。
示されている指導計画がそのまま「様式」となっていますので、そのまま各学校で作成・活用・保存(引継ぎ)に使うこともできます。この様式をこのまま使うか使わないかということではなく、その具体的な指導計画の作成手順は非常に参考になります。また、「本人参画型」の提案は、自立活動の主体的な取り組みに欠かせない視点と言えます。ぜひご一読ください。

(東京都立水元小合学園 武部綾子)