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学習のユニバーサルデザイン みんなにやさしい授業の実践
加藤 哲文 監修 古田島 真樹・古田島 恵津子 編著
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B5判 109ページ
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本体価格1,980円(税込)
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ジアース教育新社 |
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授業中「じっとしていられない」「すぐ友達とトラブルになる」等の困難さを抱えている子供への対応に、悩んでいる先生がいるのではないでしょうか。「学びのユニバーサルデザイン」という概念を提唱した米国のCAST(Center for Applied Special Technology)は、「子供が上手く授業に参加できない理由を子供の努力に求めるのではなく、授業の内容や方法から検討すること」を大事にしています。本書では、そのような観点と応用行動分析の考え方に基づいた、「みんなにやさしい授業の実践」について学ぶことができます。
第1章 授業計画の立て方
本書は2部構成になっています。第1章は、3種類のシートとその使い方です。3つのシートを用いて授業改善をしていく手順が示されています。
まず【授業評価シート】を用いて、「子供の行動」という観点で、クラスの様子を13項目から自己評価し、増やしたい子供の行動を探していきます。それが決まったら、次は【授業改善項目リスト】を用いて、選んだ行動を増やすための取り組みを検討していきます。リストは「T 学習環境」「U 学級づくり」「V 学習スキル」「W 授業構成」という4分野から成り、例えば「24 手がかりを添えて、説明している」等の43の取組内容で構成されています。最後に、【セルフチェックカード】を用いて「取り組む内容(行動目標)」を書き出し、日々の授業実践から達成度を評価できるようになっています。
第2章 授業改善のための具体的取り組み
第2章は、第1章で自己評価して選択した「授業改善項目リスト」に記した43項目について、実践のポイントが具合的に提案されています。1つの内容につき見開き2ページごとに掲載され、どのページにも豊富なイラストや図解によって分かりやすい説明がなされています。
例えば先程の「24 手がかりを添えて、説明している」項目に関しては、「視覚的手がかり」「聴覚的手がかり」「体感的手がかり」という視点から、多様な支援の方法と選択肢の提示についてのポイントが、解説されています。得意とする手がかりは子供によって異なるという前提に立って、クラスの中で支援を必要としている子供にどのような手がかりが有効か、具体的に検討することができます。
本書は「学習のユニバーサルデザイン」という観点に基づいて、様々な特徴をもつ子供が学びやすい授業の在り方を提案しています。授業者として、個々の子供のニーズに合った学習の支援を検討し、実践していくことを通して、教師自身も共に成長していける有効なツールとなる書籍であることを強く感じました。
(神奈川県立保土ケ谷養護学校 柳沼佑介)
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