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発達に遅れがある子どものためのお金の学習

川間健之介・川間弘子・奥 由香 著
 

B5判 132ページ

本体価格2,300円+税

ジアース教育新社
 「子供達が卒業して社会に出るためには、お金を正しく使う力が必要だ。」このように考える学校の先生は多いと思います。実際に、授業の中でお金の学習に試行錯誤して取り組まれている先生も沢山いることでしょう。
 本書では、お店で買い物をするとき、子供が躊躇なくお財布から必要な額のお金を出せるようになるために、きめ細やかな指導の工夫とヒントが沢山紹介されています。

お金の学習に入る前の準備段階
 本書は、次の2章から構成されています。

 第1章 「お金の学習に入る前の準備段階」
 第2章 「お金の学習指導法」

 第1章では、具体的なお金の学習に入る前に必要とされる「数と計算」や「数の基礎概念」の指導について解説しています。その中の1つ「数える指導の実際」では、スライド式数え板や固定式数え板、数系列板等の教材の使い方を紹介しながら、指導のステップや内容を分かりやすく説明しています。数概念の形成のためには、「数える対象を目で捉えて、手や指を動かして、数詞を言いながら数える」段階を丁寧に行うことが大切であると述べられており、基本的な指導に立ち返る意義に気づかされます。

お金の学習指導法
 著者は「お金の学習に必要な力」として、金種を弁別できること、複数のお金を数えられること、順序が分かること等を挙げています。
 10の等価の学習では、1円玉を10個置いた呈示版の横に10円玉を置き、「こっちは1円が10で10円、こっちは10円、こっちとこっちは同じ」と子供に言葉をかけて一緒に言うように促します。言語化させることで、意識化を図ることがねらいです。また、子供に硬貨を選ばせるときにも間違えさせないように、最初は先生が答えを先に言ったり、子供の利き手側に正しい硬貨を置いたりする等のポイントも紹介しています。

具体的な指導法が動画で学べる
 本書は指導法の実際について、動画で視聴できるように、QRコードと動画のURLを掲載しています。動画を視聴することにより、教材の呈示や指導の手順、子供とのやりとりについて具体的に学ぶことができます。
 また、付録として教材の型紙の縮小版を巻末に掲示しており、必要な場合にはPDFでダウンロードし、使用することができます。
 忙しい現場の先生方が、明日の授業ですぐに活用することができるように手厚くサポートしてくれる一冊となっています。ページを繰るうちに、「お金の学習に取り組んでみよう。」という前向きな気持になります。ぜひ、お手元に置いてご活用ください。

(筑波大学附属桐が丘特別支援学校 竹田 恵)