特別支援学校のカリキュラム・マネジメント
カリキュラム・マネジメントという言葉に関して、学習指導要領の改訂以降、しばしば耳にするようになりました。しかし、改めて「カリキュラム・マネジメントとは何ですか?」と聞かれると、答えに困り、口ごもるしかありません。この図書紹介を書くにあたり、「これは、カリキュラム・マネジメントを学ぶチャンスだ」と思い、読み進めました。
第1章では、特別支援学校のカリキュラム・マネジメントは、小・中学校等のそれとは異なり、独自の課題があることが示されていました。特別支援学校の特徴的な点は、「教育課程」「校務分掌」「個別の3計画」「授業づくり」「学校評価」、そしてチーム・ティーチングによる「協働性」が上げられていました。
これらの6項目について、特別支援学校が抱えている課題を指摘し、カリキュラム・マネジメントを意識した改善の視点が述べられています。
協働性の項では、「チーム・ティーチングによる指導においては、主担当教員任せで、無駄に指導者が多い場面を見かける」など、とても思い当たる課題が示されています。その解決は、「個人に帰するのでは対処が困難になってきている。教員の役割行動を改善することを通して、学校教育そのものの質を向上させる、それが学習指導要領において求められている、カリキュラム・マネジメントである」と、示されています。
参画チェックリスト
カリキュラム・マネジメントは学校内の全教員の協力と、学校関係者である保護者、教育委員会等とも協働して取り組むものです。また、それぞれが、積極的に参画するためには、自分自身の役割を理解して進めていくことが重要です。そのために、本書では、具体的な内容や、それらを確認するためのチェックリストが示されています。
たとえば、初任者向けの参画チェックリストには、「教育目標の具現化」についての具体的な内容として「グランドデザインを読み、学校教育目標を理解している」という項目が記されています。研究主任向けには、「学校教育目標や学校課題に基づいた研究テーマを設定し、推進計画を立てている」となります。同様に、校長、保護者、外部専門家等に向けて、18種類が提案されています。このように、関係者を含めて各自が何をすべきが具体的にわかるようになっています。
さらに、カリキュラム・マネジメントの促進のための15の仕掛けも示されています。
カリキュラム・マネジメントをどこから手を付けてよいのか迷っている先生方や学校にとって、助けになる指南書といえるでしょう。
(前東京都立墨東特別支援学校 武井 純子)
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