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学びや困難さ・合理的配慮に対応したGIGA端末・ICT活用のアイデア

新谷洋介 監修・編著
 

B5判 160ページ

本体価格2,400円+消費税

ジアース教育新社

 本書は、題名の後半部に注目しがちですが、前半部の「学びや困難さ・合理的配慮に対応した」にこそ、本書が重視している点が示されています。実態を把握し、ICT・AT機器の情報の引き出しを広げると同時に、指導の「意図」を考えることを大切にしています。

 本書は、5章に分かれています。第1章は、本書の特徴である「困難さに対応した支援」について解説しています。また、第2章では、埼玉県におけるGIGA端末・ICT機器の導入について報告しています。

校内研修の構成のヒントに

 第3章では、初心者向けの研修の構成や具体的な内容について報告しています。

 ここでは、研修全体を次の5つで構成しています。@GIGAスクール構想の意義を共有する、Aタブレットを使用してできること、B導入されているサービスの全体像を把握する、C主要なアプリの使い方、Dカメラアプリの使い方。また、研修時間の長さにより、時間が短い場合は、@ADを体験し、最低限カメラアプリと写真を投稿できるようにするなど、アレンジ案についても解説しています。校内等で教員向け研修を企画する際の参考になります。

ICT活用の「引き出し」の拡張

 第4章は、ICT活用のアイデアについてです。様々な事例を、1事例あたりカラー画像を含めて4ページで紹介しています。

 各事例を、以下の構成に統一して示しています。@実践の概要、A使用したツール、B実践の枠組み、C子どもの困難さの具体、D指導上の工夫の意図、E手立て、F子どもの変容。本書で大切にしている実態を正しく把握することと、指導の「意図」が明確に伝わることを目指した工夫です。

 これらの事例は、読者の目の前の児童生徒の特性と様々なICT活用の相性を考えるうえで、参考になります。

各校の操作環境に対応

 近年、学校におけるICT活用に関する書籍が数多く出版されています。その中で、「我が校は、iPad使用だからなあ」など、紹介事例と自校の端末など操作環境の違いに戸惑うことがあります。

 本書では、その点を考慮し、第4章の事例紹介では、各操作環境で使える類似のツールを紹介しています。例えば、Zoomを使った事例のページでは、Teams(Microsoft提供)とMeet(Google提供)を紹介するとともに、それらの特徴についても解説しています。第5章のオフィス系アプリの3社比較と合わせて読み、特定の機器やアプリに限定せずにアイデアを生かすことをおすすめします。

(山梨県立わかば支援学校 ふじかわ分校教諭 保坂美智子)