「ラーニングマップ」って?
ラーニングマップは、平成29年度に告示された特別支援学校学習指導要領及び解説の記述内容を分析して、国語、算数・数学の小学部1段階から中学部2段階までの内容を、教科の系統性と発達の段階性に沿って、フローチャート化したものです。
フローチャートの縦軸は、教科のひとつの段階を、発達の3ステップにさらに分類しています。横軸は、各教科を構成する領域ごとに分類されています。この軸の中に、学習内容が系統的に整理されていて、児童生徒の学習状況に照らして各項目をチェックしていくと、学習の到達度や次の課題が一目で分かるようになっています。
ラーニングマップについては、本書の3年前に上梓されたPart1に詳しく解説されています。ラーニングマップを丸ごと収録してありますので、合わせてご覧いただくと、理解が進むと思います。
授業づくり&教材開発
ラーニングマップは、様々な場面での活用が可能です。
1 知的障害のある児童生徒の実態把握のためのツール
2 知的障害教育における国語、算数・数学の教科の系統性の整理
3 目標と評価の一体化を図るツール
4 学習評価における評価基準としての機能
5 教材開発のエビデンスツール
6 支援方法を検討するツール
7 カリキュラム・マネジメントのツール
8 専門性向上のためのツール
これらは、主な活用です。本書では特に、授業づくりと教材開発の具体例が多く掲載されています。
例えば、国語の小学部1段階のラーニングマップを活用して、児童の実態把握を行うと、「話しかけに注目する」ことは達成しているが、「話しかけに応じて答える」ことは一部達成している等の実態がはっきりします。実態を基に、「よく見よう、よく聞こう」という単元名の授業が展開されます。教材は絵本を題材にしたものが2点掲載されています。カラーの写真で示され、「教材の使用方法や指導のポイント」「教材を使用した学習の様子・ここが有効!」というコメントが記載されています。
実態把握から授業を構成することは王道ですが、ラーニングマップを使うことで、実態が可視化され目標の設定も実態に基づいて行うことが容易になります。
ラーニングマップは学校として扱うことで、活用の範囲は広がりますが、個人でまたは学習グループで活用もできます。いろいろな可能性のある、ラーニングマップを本書でご覧になってみてください。
(前東京都立墨東特別支援学校 武井 純子)
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