ICT(情報通信技術)の利活用は、日常生活において当たり前となっています。この状況は、半数以上の子供たちが、今、存在していない職業に就く、とした未来予測に通じます。学校教育は、新たな時代を切り開く取組を進める必要があります。
Society5.0で実現する社会
Society5.0、馴染みのない言葉かもしれません。その意味は、AIやICTなどから得られる情報を、上手に活用できる社会と言えます。現代社会は、狩猟・農耕・工業・情報社会に続く、第五世代(Society5.0時代)へ向けて、走り出しています。
本書は、肢体不自由教育実践の授業力向上シリーズの最新号であり、理論・解説3編と、実践報告22編で構成されています。
新しい時代の学校教育理論・解説編で、菅野和彦先生は、「Society 5.0時代の到来により、社会は大きな変化を迎えています。」そのため、「肢体不自由のある子どもの学びにおいてもICTや支援機器等を効果的に活用できることが不可欠」と述べています。
このことの意味は、子どもたちが新たな時代に(受け身的に)合わせていくのではなく、子どもたちなりに考え、実践し、解決していく前向きな姿勢を身に付ける必要がある。そのための手段として、ICT等を効果的に活用することが、教育活動の充実に資すると理解しました。また、肢体不自由のある子どものICT活用について、吉川知夫先生は、学校内で推進するための校内体制や研修の在り方について検討が必要であるとしています。
実践編では、多くのヒントがあり、使ってみたくなる支援機器やマネをしてみたくなる実践があります。また、実践のポイントをまとめたコメントもあり、示唆に富みます。是非、目の前の子どもの学習に最適な手段を工夫してしていただければと思います。
22編の実践報告
実践報告の視点の1つである「学びを支援する」では、自立活動や各教科等の効果的な学習に向けた取組があげられています。学習の中に、どのようにICTを採り入れたのか、学習指導要領との関連はどこにあるのか等が記載されています。広く周知されている支援機器であったとしても、活用の仕方にキラリと光るものを感じます。
是非、本書を参考に、教育実践のヒントにしていただければと思います。
(千葉県立四街道特別支援学校 山田康朝)
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