本書は、2022年刊行『社会に参加する力を育む単元開発 障害の重い子供のための各教科の授業づくり』の続編です。いずれも筑波大学附属桐が丘特別支援学校施設併設学級の研究をもとにまとめたものです。
第一章では、障害の重い子供を対象とした各教科の授業づくりの考え方と、各教科の授業づくりの年間サイクルを提示しています。続く第二章以降で、生活・社会・理科、国語、算数・数学、体育・保健体育の授業づくりについて、実践例とともに述べています。
各教科各段階の授業づくり
ここで、「音楽や図画工作等はないの?」という疑問が浮かびます。この点は、「はじめに」の中で「今回は、一つ一つの教科について詳述することにしたため」と、その意図が記されています。実際に、第二章以降では、その教科で育成を目指す資質・能力や授業づくりの要点を述べた後、各段階の授業づくりをじっくりと紹介しています。ここで、観点別の学習状況を把握し、年間を通して育成を目指す資質能力を検討し、年間指導計画を作成し、具体的な授業を検討する流れを追うことができます。表や写真も豊富で、読者がイメージしやすくなっています。
なぜ各教科の授業づくりなのか
平成29年に特別支援学校小学部・中学部学習指導要領が改訂されてから、各校で改めて各教科を意識した授業づくりが行われています。なぜ、現在各教科の授業づくりが求められているのでしょうか。
これについては、第一章で丁寧に解説されています。その内容は、ぜひ本書を手に取ってお読みください。ここでは、第一章と合わせて読んでいただきたいコラム「生活科と各教科等を合わせた指導」についてご紹介します。
コラムでは、本書の実践の場となっている学校では、教科等別の指導を基盤としつつ、必要に応じて「各教科等を合わせた指導」を取り入れる方向へと授業づくりを見直してきた、と述べています。また、生活科の内容である「基本的生活習慣」や「人との関わり」などは、日々の生活の流れの中で取り扱うことが効果的であると考え、生活科の時間に限らず随時指導しているとも述べています。
「各教科の授業づくり」と聞くと、とかく「教科指導か、各教科等を合わせた指導か」と対立的に考えてしまう傾向が見られます。しかし、本書の実践では、形式にとらわれない柔軟な指導と指導目標に即した評価の両立を図っています。
各教科の授業づくりに戸惑いを感じている方にこそ、手に取っていただきたい一冊です。
(山梨県立わかば支援学校ふじかわ分校教諭 保坂美智子)
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