本書は、初めて教育相談を行う際の教育相談担当者のマニュアルとして、記述されています。
I部は、「かおるちゃんの教育相談」で、実際のお子さんを想定して、教育相談の手順を具体的に示しています。お母さんの悩み→相談の申し込み・受付→教育相談受付後の会議→相談日の決定→初めての教育相談→子どもとの出会い→保護者との出会い→お母さんの振り返り→ケース会議と、それぞれの段階での内容がたくさんのイラストを用いて記述されています。その際に必要とされるポイントや配慮事項などは、注によりU部の記述場所が明記されており、大変活用しやすくなっています。
U部は、「障害のある子どもの教育相談」ということで、初回相談までに行う内容のポイントや配慮事項、理論的背景について次の項目に要点がまとめてあります。教育相談について、教育相談の意義、育てるカウンセリング、学校組織の一員としての相談担当者、申し込み/受付、教育相談の準備、子どもの行動観察、保護者面接、初回面接の目標、教育相談の基本的態度、早期療育システム、教育相談と連携です。
特に、印象に残ったのは、障害のある子どもや保護者が自らのセルフエステーム(self - esteem)を高めていく力への支援活動が教育相談の意義であるという点です。
盲・聾・養護学校が地域の特別支援教育のセンター的役割を果たすことが期待されている今日、教育相談担当者のみならず、すべての教員が専門性を高めるために、一読されることをおすすめます。
埼玉県立熊谷養護学校 加藤 恵美子
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