子供とのコミュニケーションで、次のようなことを感じたことはありませんか。
1 子供とコミュニケーションする糸口がつかめない。
2 コミュニケーションに関する目標をどのように設定したら良いかよく分らない。
3 課題が達成されず、同じ課題の繰返しになっている。
4 実践からの充実感をより一層得たい。
5 実践例を知って、日々の指導に役立てたい。
6 「多動」「学習障害」などといわれる子供の指導・援助の手がかりを知りたい。 このようにお感じの場合、本書を是非ご覧下さい。
1 コミュニケーションの糸口
本書には、子供とコミュニケーションするコツにあふれています。例えば、「第T章 指導・援助のための基本的な考え方」では、「子供が応じられるように援助者が働きかけることから始まる」とあります。子供に原因を求めることでは解決出来ないことに気づかされます。
2 コミュニケーションに関する目標設定
「引継ぎなどを生かして目標を設定しているが、これで良いという自信が持てない。」と感じることがあります。「第T章」では、「可能な面を伸ばす指導・援助の目標」「可能な面を定着させる指導・援助の目標」「可能な面を引き出す指導・援助の目標」「可能な面を発見する指導・援助の目標」というように、目標の設定の方法が紹介されています。現在、設定している目標をそれらに位置づけられれば、自信がわいてくることでしょう。 3 同じ課題の繰返し
例えば、○と△を描いたカードを見せて、「○はどれ。」と尋ねます。○を常に指させば、次の段階に進めます。しかし、△も指さすことが多く、同じ課題を繰返すことになります。このような場合、どのように理解して援助すれば良いか、分り易く述べられています。
4 実践からの充実感
本書には、教育に携わる者の喜びについて随所に述べられています。「第U章 指導・援助の事例」では、「教材の工夫(選択・創作)や教材の提示の工夫をとおして、子供の学習が進むとその大切さやおもしろさが分るようになります。ここに障害のある子供の教育の醍醐味があると思います。」と、書かれています。
5 実践例から指導に
第U章には指導・援助の実際例、教材・教具の使用例などが、豊富に掲載されています。単なる実際例を示すだけでなく、子供と著者のコミュニケーション、その時々の著者の考えなどが具体的に記されていて、子供の見方、教材・教具の工夫の仕方が手に取るように分ります。
6 「多動」「学習障害」の指導の手がかり
「障害の重い子供の指導・援助を通して習得した指導・援助の方法は、障害の軽い子供の指導・援助にも応用出来ます。」と、本書の中に書かれています。つまり、本書の内容は、全ての子供に役立つといえましょう。「多動」といわれる子供についても、行動の解釈と指導・援助について丁寧に解説されています。
神奈川県立総合教育センター 新井 雅明
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