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肢体不自由教育シリーズ1
肢体不自由教育の基本とその展開

監修 日本肢体不自由教育研究会
 
B5判 260ページ 税込価格2,310円 慶應義塾大学出版会

 いま、特別支援教育が推進され、児童生徒一人一人の教育的ニーズに応じた教育として、教師の専門性が問われています。
  本書は、今日まで、肢体不自由教育において培われてきた自立活動の指導や認知特性に応じた教科指導等、肢体不自由教育の特徴的な実践的で専門性の高い具体的な取組について、その基本的な考え方と優れた実践をまとめた書籍です。
  特別支援学校や小・中学校等の教職員はもちろん、医療・福祉・労働等の専門職の方々や保護者などにとって、肢体不自由教育の全体像を把握して、その教育のエッセンスを知るために企画されたシリーズの最初の巻です。この後、第2巻『(仮)コミュニケーションと授業実践』・第3巻『(仮)子供の健康管理と医療的ケア』の発刊が予定されています。

第1章 肢体不自由教育の基本と課題
  まず、肢体不自由教育の歴史的変遷から特別支援教育の現状と今日的課題まで取り上げています。
  この章では、特別支援教育を踏まえ、教師の専門性や学校の新たな機能や役割、肢体不自由教育の教育課程、個別の指導計画、指導内容・方法、自立活動、進路等に関する重要な視点や課題が述べられています。

第2章 指導の計画とその展開
  日々展開される授業づくりに必要な内容についてまとめています。特に、重要な「個別の指導計画」や「個別の教育支援計画」等の作成、策定及び運営に関して、具体的な内容が示されています。
  この章を通して、計画に基づく教育活動としての授業展開や、評価の重要性が指摘され、肢体不自由教育の指導において教育の質を高めるためには、目標設定、指導と評価の一体化、地域生活を支えるネットワークづくりの重要性が示されています。

第3章 指導に生かす考え方と実践
  これまでの肢体不自由教育が蓄積してきた教育実践として身体の動きや姿勢、視覚障害や認知の困難さへの対応、音や音楽を通しての表現活動、移行支援等についても具体的に紹介しています。また、肢体不自由児の学習環境を支える補助具や教材等についても写真や絵図により、わかりやすく具体的に示しています。
  これらの理論と実践は、特別支援教育の現場で必要不可欠な内容となっています。
  加えて、肢体不自由教育・福祉・労働等の分野に関するキーワードや用語解説、基礎資料等が紹介されています。それまで、読者が理解していなかったり忘れていたりした事項や用語について、正確な意味を知る上で役に立ちます。
  このように、本書には特別支援教育の展開において、肢体不自由教育を推進する教員等にとって必須の事項が、ふんだんに盛り込まれています。また、肢体不自由児のみならず、発達障害児等の指導においても参考になる考え方やヒントが含まれています。
  ぜひ、ご一読ください。

千葉県立銚子特別支援学校教諭 古 山   勝