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障害の重い子どものための授業づくりハンドブック

社会福祉法人 全国心身障害児福祉財団
 
A4判 224ページ 頒価 2,400円 社会福祉法人 全国心 身障害児福祉財団

 学校において、授業は中心にあります。教員は、毎日の実践を積み重ねながら、教師としての専門性を高めます。

 障害の重度・重複化、多様化の傾向のなかで、子どもの実態把握が難しく、具体的な目標設定や授業の進め方など悩むことが多いと思います。また、日々の授業において、子どもの成長や学習の成果がみられない授業を繰り返したり、慣例のような授業を展開したりすることに気づくことがあると思います。

 本書は、障害の重い子どもの教育について、子どもの教育的ニーズを把握し、適切な指導計画を立て、授業を通じて子どもの成長・発達を図っていくための具体的な授業づくりの手がかりになります。特に、特別支援教育が本格的にスタートしたからこそ、その概観について詳しく解説され、障害の重い子どもの教育にとっての中核となる内容が説明されています。

 以下に紹介する本書の特別支援教育における障害の重い子どもの授業づくりの基本や関連知識、具体的な事例は、日々の授業実践において大いに役に立つ書籍だと思います。

第1章 特別支援教育への転換と障害の重い子どもの教育

 特別支援教育への転換の動きを概観しながら、障害の重い子どもの教育に求められる内容を整理しています。

 また、障害の重い子どもの教育への指針としての授業の大切さを示しています。

第2章 授業づくりの基礎

 授業づくりの基礎として、特別支援学校の教育課程の特徴、実態把握のための情報整理、個別の指導計画の作成、授業づくり、授業評価と授業改善の進め方など、「授業づくり」のための基礎・基本を分かりやすく説明しています。

第3章 授業づくり入門

 知的障害と肢体不自由のある重複障害児の事例における実態把握から目標設定、評価など授業づくりのプロセスを具体的で分かりやすく紹介しています。この章での事例の取組は実際の授業づくりの参考となる内容です。

第4章 授業づくりの実践

 授業づくりの実践として、さまざまなタイプの事例を具体的な実践を通して紹介しています。例えば、視覚障害と聴覚障害のある子どもに対して教材・教具を中心とした授業づくりや、知的障害と自閉症のある子どもに対して自閉症教育の七つのポイントを活用した取組、訪問教育のベッドサイドの学習の事例など、障害の特性の把握から授業改善まで、具体的な事例が満載です。

第5章 授業改善の視点

 障害の重い子どもの授業改善をするための視点として、目標設定の仕方やティームティーチングの意義、授業評価、授業研究などが紹介されています。

 授業づくりのプロとしての専門性を磨き、子どもがかわる授業づくりをするために役立つ一冊として、ご一読を勧めます。

千葉県立銚子特別支援学校教諭 古山 勝