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障害の重い子どもの授業づくりPart2
ボディイメージの形成からアイデンティティの確立へ

飯野順子・授業づくり研究会I&M 編著
 
A4判 218ページ 税込価格 2,268円 ジアース教育新社

 学校は、“学び"と“育ち"の場です。子どもたちにとって、学校時代は人生の生命の糧を培うかけがえのない“時"です。その“時"を、「今が大切、今がその時、子どもたちの今が、失われないように!」との姿勢で、充実した“場"とすることは、教師の使命です。

 本書のまえがきです。私たちは、このことを、単なる言葉としてだけではなく、日々の授業のなかで具体的に実践して、子どもたちと向き合っているのでしょうか。

 本書は、子どもの内面に寄り添い、子どもの内面形成をしていく授業づくりを、「ボディーイメージからアイデンティティの確立へ」をテーマに、感覚・知覚の発達に関する理論と実践報告の内容が示しています。

第1章 授業づくりの基礎・基本

 この章では、専門性に基づく質の高い授業づくりをするためのポイントが示されています。保護者から見た授業への思いや、感覚や知覚・運動、認知発達など専門家からの視点、あるいは学習における教材・教具の活用とそのポイントなどが記されています。

 この章における一つひとつの理論や考え方が学校現場の中で生かされるように取り組めば、教育の専門性を見直す機会となるでしょう。

第2章 実践報告

 第2章からは、実際に特別支援学校で行なわれた九つの授業の考え方とその実践が報告されています。この章で紹介されている実践報告で一貫しているのは、子どもの現状把握を的確にとらえ、子どもに寄り添いながら、子どもの「学び」を保証する実践が報告されていることです。

 集団としての子ども同士のかかわりや、身体を動かすことの楽しさ、生活リズムを整えること、見ることや聴くこと、認知発達を支える考え方など、授業づくりにおける教材・教具の工夫や理論的な背景に基づく実践など幅広く紹介されています。

第3章 授業を支える健康づくり ―健康観察のポイント―

 第3章は、看護師と養護教諭の視点から健康・安全に関する授業を支える健康づくりのポイントを紹介しています。特に、日々行なわれている健康観察の基本的な考え方や健康観察の視点や体調管理と留意点、対応の仕方など、学校生活全体を通して、子どもの健康管理に関する内容が説明されています。

第4章 今日的課題として ―専門性の構築―

 この章では、特別支援教育として、センター的機能の役割を発揮するために、外部専門家と連携したチームアプローチや、肢体不自由教育の専門性としての小・中学校への支援の実際などが紹介されています。

 本書には、明日の授業へ生かすことができる内容が示されています。是非、ご一読ください。

千葉県立銚子特別支援学校教諭 古山 勝