本書は、放送大学の科目「肢体不自由児の教育」の教材です。この科目は、肢体不自由児の教育についての基礎・基本を学び、障害の多様な肢体不自由児に適切に対応するために設けられています。
1 主な内容
○肢体不自由児の教育
歴史と現状
○肢体不自由教育の実際
特別支援学校や特別支援学級における教育の実際
社会性の発達と総合的な学習の時間の取組
自立活動の指導
○肢体不自由児の生理・病理
○肢体不自由児の心理
学齢期以前を中心に
学齢期以降を中心に
○肢体不自由教育の教育課程
○指導法
身体の動きの指導
コミュニケーションの指導
各教科の指導
重複障害児の指導
○肢体不自由児のキャリア教育
○新たな取組と今後の課題
2 専門用語を極力減らした分かりやすい表現
放送大学でこの科目を受講する方の多くが、肢体不自由教育についての経験が少ない、または全くない方であることが想定されています。そのため、できるかぎり専門用語を使わずに、分かりやすい表現で執筆する工夫が随所で見られます。例えば、特別支援学校における給食の食形態の説明では「一人一人の食べる機能に合わせて、ペースト状、かなり柔らかめ、やや柔らかめ、通常のように、食形態を工夫している」と、「初期食」等の用語を用いずにイメージしやすく表現しています。
このことから、本書は肢体不自由教育に初めて携わることになった教員への説明に有効に活用できると考えられます。また、他職種の方へ学校の様子等を伝える上でも参考になります。
3 実践の中での疑問に答える書
各章の冒頭には《学習の目標》と《キーワード》、巻末には索引がついています。このことから、授業中あるいは教員同士の会話の中で「あれっ?」と思ったら、手早く本書の該当ページにたどりつくことができます。
また、指導法や具体的な実践の紹介に多くの紙面を割いています。例えば、重複障害児の指導内容について、実態把握のポイントを具体的に示した上で、「健康の保持・増進を図る指導」「食事の指導」「排せつの指導」に分けて指導内容と配慮点を具体的に解説しています。このように、日々の授業を整理・改善する際に、本書が活用できると思います。
なお、放送大学の授業は、衛星放送等を利用して全国で受講できます。特にテレビ放送では、本書には載せられていない動画等での解説が加わるため、より深く理解することができます。放送時間等の詳細は放送大学ホームページ(http://www.ouj.ac.jp)でご覧いただくか、放送大学学園企画管理課にお問い合わせください。
(山梨県立わかば支援学校 保坂 美智子)
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