学校教育法の改正や新学習指導要領の告示により、特別支援教育を取り巻く環境は大きく変化しています。障害のある子どもの指導・支援において、特別支援学校は、医療、福祉等の関係機関と連携を図ることが求められており、既に様々な実践が行われています。
本書は、これまでの取組や研究成果から、子どもたちの幼児期から学校卒業までのライフステージの課題を取り上げると共に、医療、福祉、労働、相談、教育等の分野からの情報を掲載しています。T部は支援の視点、U部は支援の実際Q&A、V部は提言で構成され、これからの特別支援教育の充実のためのアイディアや取組の例がまとめられています。
支援の視点
特別支援学校、小中学校、保護者、行政、関係機関、医療、コーディネーターの立場から支援の充実に向けた視点が紹介されています。実際に各機関との連携に取り組む際には、それぞれの視点を踏まえて意見を交換すると、新たな支援の方向性が見えてくるのではないでしょうか。
支援の実際Q&A
初めて特別支援教育に携わる方にとって聞きなれない専門用語を、具体例を交えて説明しています。既に特別支援教育に携わっている方にとっても、日々の実践における疑問を見つめなおす視点となるのではないでしょうか。
本章は11の項目から構成されています。それぞれの項目ではキーワードを取りあげ、教育現場や関係機関の視点から支援のポイントや事例をQ&A形式で紹介しています。
1 支援の現状と課題
2 特別支援教育の枠組み
○法律、システム、方向性、○支援の対象となる子どもの見とり方
3 特別支援教育のシステム
○校内委員会の役割や効果的な運用の工夫、○各学校のコーディネーターの役割
4 支援の内容、方法、留意点
○幼稚園段階から高等学校の通常学級、○特別支援学級、○通級の指導、○特別支援学校、○学校間のサポート、○学校種に応じた支援の方法と留意点
5 支援ツールの活用
○個別の教育支援計画、○個別の指導計画、○目標の設定の仕方、○学校種等に応じた個別の指導計画
6 支援の具体例から
○取り出し指導、○集団の中での実践、○指導課題による学習上の留意点、○授業、○学級経営の工夫
7 対象児と周囲の子どもたちへの支援と対応
○本人への支援と対応、○交流および共同学習
8 就学支援から進路支援、将来への対応
○就学支援、○転学支援、○進路相談
9 保護者への支援と対応
○有効な支援方法
10 関係機関の連携やネットワークの構築
○地域資源の活用
11 専門性と関係機関の情報
近年の急激な教育改革の中において、各学校において特別支援教育の方向を見定めることは重要です。本書は、各学校におけるこれからの特別支援教育の充実、特に支援の充実を図るための方向を検討する指標として活用することができます。
(筑波大学附属桐が丘特別支援学校 大川原 恒)
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