明日からの授業に役立つ本書
本書を手に取り、見開いてすぐに感じるのは、読みやすい文字の大きさと文章、そしてカラー写真があることで、明日の実践に役立つ内容が紹介されています。また、自閉症教育に携わる研究者による各章のコラムに特別支援教育に必要な専門性の基礎が掲載されていることで、本書に深化が加わり読み応えが増します。
第1章 自閉症教育と筑波大学附属久里浜特別支援学校
自閉症児に対する教育の充実に関する提言や調査研究の経緯、筑波大学附属久里浜特別支援学校の概要や平成19〜21年度における研究開発の経過や内容などが具体的に説明されています。
第2章 自閉症の障害特性に 焦点を当てた指導
この章では、特別支援学校の自閉症教育における個別指導と集団指導の授業づくりから、認知や運動・動作、コミュニケーション、社会性などを育てる指導のポイントが紹介されています。特に、自閉症教育の課題である主体性や社会性を育む基本的な考え方や場の設定、人的・物的な環境などについて、指導場面ごとに具体的に説明されています。
第3章 集団指導の実際
自閉症児の集団指導は、その実態から難しさがあります。この章では、自閉症児の集団指導の内容や方法、学習環境の設定、教師間の連携の仕方などの具体的な説明と注意点が示されています。個別指導と集団指導の関連を踏まえた効果的な指導を紹介しています。
第4章 支援ツールを活用した指導
児童生徒にとって、「わかって、動く」ことにより主体性や自主性が育まれ、楽しい学校生活に結びつきます。そのヒントになる手立てや教材・教具の工夫、場の工夫などの具体的な指導方法が紹介されています。
第5章 家庭との連携
この章では、「親子学習教室」や「家庭への訪問指導」「サポートブック」「教育相談」など、家庭との連携に大切な内容が紹介されています。
第6章 教材・教具
この章では、教科等の基礎となる内容の教材・教具の工夫が紹介されています。特に、教材の使い方や配慮点、仕様などわかりやすく説明されています。
(千葉県立銚子特別支援学校 古山 勝)
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