第1章 みんなに知ってもらいたいこと―きょうだいの作文―
小学校低学年から高学年、中学生、高校生、大学生、主婦という様々な年齢や立場の方々からの「重症児のきょうだい」としての思いが綴られた作文が載っています。重症心身障害児(者)の最も身近で生活を共にしてきたきょうだいとして、その子の成長やその障害とどのように向き合ってきたのかなどがうかがえる章です。
第2章 重症児の家族
障害の告知を受けてからの家族の動揺や、どのような経過をたどりながら重症児のいる家族としての生活を築きあげてきたのか、などが描かれています。
私が特別支援学校で担当している児童生徒の家庭訪問の際のお話や、来校時や連絡帳などでうかがえる家族状況や心の内を、代弁しているような内容でした。障害があるなしにかかわらず、子育ての根本となるところは変わらず、子供をまるごと受け入れることの大切さを改めて考えさせられました。
本書の中で、重症児の自立について、うれしいときに笑顔が出せること、誰の世話にでもなれること、親が子離れできること、と書かれていました。このような観点から、私自身が特別支援学校の教員として、障害のある子供との接し方について振り返る良い機会となりました。
第3章 交流キャンプ
きょうだい支援事業の一つとして行われたキャンプでのきょうだい児の様子や参加者たちの感想が載っています。
同じような境遇で共感できる立場の人同士で話せた喜びや親たちが改めてきょだい児の気持に気付けたことなど、「きょうだい支援事業」の大切さについても触れています。
担当する児童生徒のきょうだいが、学校行事等で来校する機会があると思いますが、年齢の近いきょうだい児同士をつなげていくことも、私たち教員にできることの一つのように思いました。
第4章 いちばん豊かな者たちとともに―アンケートから―
障害のある子供のきょうだいや親に対して、アンケートをとり、それをまとめたものがコメントを含めて掲載されています。
特別支援学校の現場では、障害のある児童生徒の教育だけでなく、子供たちの家族を支えることも教員の大切な役割だと感じています。また、「副籍交流」等を通して、重症心身障害児(者)が生活しやすい社会をつくっていくということも、特別支援学校の大切な役割だと思います。
本書の中に「きょうだい達は、重度の障害をもった人たちを自分のこととして考えることができます」と記されていました。
きょうだいの声を通して、私自身、日々の児童生徒やその家族への接し方を振り返りたいと思いました。是非ご一読ください。
(東京都立江戸川特別支援学校 広井 沙和)
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