まえがきで著者の飯野順子先生は「(教員が)創意工夫と熱意を以て『子ども主体』の授業を目指していても、結果的に『教師主体』と感じざるを得ない教師の活動・活躍が目立つ授業に多く出会う」と厳しく指摘しています。そして、授業づくりの「プロ」である教員に求められる「子ども主体」の授業づくりについて、検証しています。
Ⅰ章 授業改善に向けて
1 子どもが活動する「子ども主体」の授業づくりとは
2 障害の重い子どもの自己決定の力を支え育むために
3 学びの意味を考える教育評価と発達的視点
4 授業者支援会議の勧め
5 外部専門家の視点で、授業づくりを考える
Ⅱ章 子どもが活動する「子ども主体」の授業と授業改善
1 目と手と全身で感じるあそび―心の動きを伴って―
2 自分から動いていく子どもたちの姿をめざした授業づくり
3 主体性に視点を当てた授業づくりについて
4 子ども同士の主体的なかかわりを広げる朝の会の授業改善
5 「子ども主体」の朝の会をめざして
6 子どもたちを引き付ける魅力的な授業づくり
7 実態把握を行い、わかる授業をめざす「こくご・さんすう」の実践
8 子どもたちが自ら動く遊び場を求めて
Ⅲ章 絵本を題材とした授業の展開
1 「はらぺこあおむし」1〜3
4 わたしのワンピース 1〜2
6 オズの魔法使い
7 きたかぜとたいよう
8 春はあけぼの
9 表現活動としての絵本の読み聞かせ(語り聞かせ)の方法あれこれ
Ⅳ章 医療的ケアの必要な子どもの授業の取り組み
1 医療的ケアが必要な子どもの授業づくりを考える
2 不定期な吸引を必要とする子どもの授業づくりを、1日の日課から考える
3 医療的ケアが必要な児童生徒の呼吸改善に向けた指導
Ⅰ章は専門家による示唆に富んだ内容や方法論が提示され、大変読み応えがあります。Ⅱ章、Ⅲ章、Ⅳ章では、各特別支援学校で先駆的に取り組まれている教員の選りすぐりの実践が紹介されています。実践の多くが今回の学習指導要領改訂以前の取組ですが、何ら遜色なく、授業づくりだけでなく、障害者と共に生きる者に大切なヒントが随所に示されています。
「Part3」では特に、絵本を題材とした授業の実践を取り上げることによって、今後、実践交流の契機となることを期待されています。特別支援学校教員はもとより、医療・福祉関係者にも活用していただき、実践力の向上を期待します。
(東京都立光明特別支援学校 相原 陽子)
|