本書は、「特別支援教育におけるコミュニケーション支援」の改訂版で、発達障害や視覚障害、聴覚障害を含めた、すべての子供たちへのコミュニケーション支援についてまとめられています。
第1章には、コミュニケーションの理念的な考え方が書かれています。近年の流れから、国際生活機能分類(ICF)から見たコミュニケーションについて触れられています。指導を行うに当たって「環境整備も大切だが、子供自らが様々な方法でコミュニケーションをとりたい、活用したいという意欲を持つような指導が重要」という言葉に、はっとしました。
また、ここではAAC(拡大代替コミュニケーション)とAT、教材・教具という言葉の関係性が分かりやすく述べられています。
発達障害の子供たちは、読むこと・書くこと・聞くことや注意集中、ルールの理解、自己コントロールなどに困難を抱えています。
第6章では、読むことの補助手段としてのデジタル教科書の利用、一斉授業の中でのプロジェクターや電子黒板の活用などが紹介されており、障害の枠を越えて各種機器を活用できることが分かります。VOCA(携帯型会話補助装置)の活用事例も多く紹介されています。
本書には、ニーズに応じた事例が多く取り上げられており、必要なところから読めるようになっていて、機器の写真やサイトの紹介が多いので、分かりやすく、今後の指導で子供たちに試してみようという気持になりました。
(千葉県立野田特別支援学校 松浦 雅子)
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