全身に力を入れながらのゼコゼコしたつらそうな呼吸、獲得してきた動きでなんとか不快さから脱却しようとする姿、これらは障害の重い子供の指導場面でよく目にする光景です。「からだが楽な心地よい状況」を作りたくても、なかなかうまくいかず、自分の知識のなさを痛感している先生方も多いのではないのでしょうか。
本書は、単語一つをとっても難しく、すべてを理解できる内容ではないかもしれません。しかし、目の前の子供のからだはどういう状況になっているのか、今後どのように変化していくと推測されるのか、マイナスの変化(二次障害)を少しでも軽減したり進行を遅らせたりするために今何が必要なのかについて、実際の指導場面を中心に著者の経験に基づき書かれています。
自立活動の指導担当の先生、障害の重い子供の指導のベテランの先生などから、指導の具体的な助言を得ながら読み進めることをお勧めします。
序章には、養護学校(当時)に在籍した児童生徒の12年間の障害の経年的な変化や変形の出現の調査結果を基に、脳性麻痺の運動障害における一次障害、二次障害、退行障害の階層概念が、第1章には、脳性麻痺の定義や原因、脳の仕組み、病型による分類とその指導が、第2章には、からだの変形の理解やその具体的な指導アプローチが、第3章には、脳性麻痺児の運動発達の段階に応じた指導の実際や教室でできる具体的な援助が、第4章には、事例を中心とした呼吸指導の実際がそれぞれ書かれています。
脳性麻痺の子供たちのからだについて深く学べる本です。ぜひご一読ください。
(東京都立墨東特別支援学校 広井 沙和)
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