本書の著者は、本研究会主催の第35回日本肢体不自由教育研究大会(2011年8月開催)で基調講演の講師をお願いした広島大学教授木舩憲幸氏です。木舩氏は中央教育審議会の特別支援教育の在り方に関する特別委員会委員、及びその中にある合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループの委員として、これからの特別支援教育の在り方について中心になって検討なされている方です。
本書は、脳性まひ児の姿勢と運動の発達支援に加え、学習の支援、環境・社会適応の支援、摂食・嚥下支援についても述べられています。脳性まひの子供たちが有する肢体不自由という障害は、日常生活や学校生活全般に影響しています。
本書では、机上学習における座位姿勢の保持、上肢を使用した書字動作、環境の把握や対人関係、発声・発語など、教育場面で出会う実際的な課題を解決する際のヒントになるような内容が取り上げられています。
第1部は「肢体不自由教育と発達支援」として、肢体不自由の定義、肢体不自由児の学習上の困難、特別支援学校における教育課程などについて解説しています。第2部は「発達支援のための基礎知識」として、姿勢と運動の発達や、姿勢と運動を支える感覚、姿勢反射・反応、脳性まひ児の筋緊張障害について解説しています。第3部は「発達支援の実際T(姿勢と運動の支援)」として、緊張への対応、臥位と寝返り、頸座の支援、座位・立位・歩行の支援について解説しています。第4部は「発達支援の実際U(学習、環境・社会適応、摂食・嚥下の支援)」です。
イラストも多く読みやすい構成となっているので、肢体不自由がある子供たちへの指導は初めて、あるいは基礎的なことを知りたいという方にとって理解しやすい一冊です。
(千葉県立袖ケ浦特別支援学校 尾ア 美惠子)
|