学習指導要領の改訂により「自立活動」の内容等が改められました。幼児児童生徒の障害の重度・重複化や多様化に対応すること、小学校等でも障害のある児童等の指導内容や指導方法を工夫することが求められています。
本書は、特別支援学校の教員だけでなく小学校等の教員でも、自立活動の指導について理解を深められるように作られています。
第1章「自立活動の概要」では、自立活動の指導の特徴や自立活動の目標・内容・指導計画の作成、学習指導要領の改善内容などが書かれています。ICF(国際生活機能分類)による障害のとらえ方を踏まえた、自立活動の指導計画の作成について、分かりやすく述べられています。第2章「自立活動の視点から見た幼児児童生徒の理解」では、子供を理解する上で大切な発達的な視点と自立活動(健康の保持・心理的な安定・人間関係の形成・環境の把握・身体の動き・コミュニケーション)の視点について詳しく解説しています。第3章「自立活動の実践」では、視覚障害・聴覚障害・知的障害・肢体不自由・病弱・重複障害・発達障害のそれぞれについて、自立活動の計画・実践・評価・改善がまとめられています。実践例も取り上げてあり、具体的な自立活動の指導の取組が分かります。
また、「Box」というページで、特別支援教育や自立活動に関する事柄や用語を解説しています。「自立活動の変遷」を読むと、現在の自立活動の形になるまでの経過が分かります。「歩行指導」「人工内耳」「ソーシャルスキルトレーニング」など、各障害種で特に用いられる用語についても取り上げています。
この一冊で自立活動がすべて分かる、内容の濃いハンドブックとなっています。
(千葉県立野田特別支援学校 松浦 雅子)
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