障害の重い子供の授業をどう作るか。これまで筆者が全国の実践を実際に見る中で追求されてきたテーマです。本書はその第4弾であり、「授業のデザイン力」と「実践的指導力」がキーワードです。
第1章「授業のデザイン力を高める」では、根拠に基づく専門性の高い授業のための理論が述べられています。「授業のデザイン力」とは、あるプロセスを踏む中で「計画的に、系統的に、意図的に授業を作り上げる総合力」とされています。
第2章「実践的指導力を高める」では、「動作法」「静的弛緩誘導法」「感覚統合理論」「言葉の育ち」「リハビリテーションの技法」「AAC」「ポジショニング」など、様々なアプローチを生かした授業づくりが紹介されています。
全国肢体不自由教育研究協議会に参加した筆者が、分科会の発表内容の厚みと、ポスター発表による研究交流により、肢体不自由教育に携わってきた方々が蓄積してきた叡智を、広く紹介するための本づくりが必要だと思ったところから本書が誕生しました。
「授業のデザインをしっかり描くことができれば、実践はより効果的になる」という筆者のこれまでの経験から得た理論を証明できる実践がたくさん載っています。
いずれも筆者が実際に全国の実践を見て歩いた中から集められた秀逸な実践ばかりです。読むと日々の授業づくりの観点が明確になってくる、そんな一冊です。
(千葉県立袖ケ浦特別支援学校 尾ア美惠子)
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