本書は、精神科医であり30代にして「受動型」の自閉症の診断を受けた著者が、0歳から生き直し始めるまでの自らの経験を、分析的視点を交えて綴った記録です。
彼女は幼いころから自分には訳のわからない現実の中で生きるために、本当の自分とは掛け離れた「彼」と「彼女」を作り上げ、そのため、「私」を失ったまま成長し、精神科医となり、結婚もしました。しかし、日常を生きること自体に困難が生じ、ついに死を選びます。不本意にも生き返り、やっと本当の「私」を見つけるまでの苦悩が描かれています。
後半では、著者の精神科医と担当セラピストが、彼女(自閉症)についての解説を加えています。
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