「まとめ」とは「授業展開のまとめ」
学校現場の先生方は、日常の授業の中で「まとめ」の時間をどのように設定しているでしょうか。また、「見通し」や「振り返り」という学習活動をどのような形で授業に取り入れているでしょうか。
改訂された特別支援学校学習指導要領では、第1章総則の第2節教育課程の編成「第4 指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項」で「見通し・振り返り」の学習活動を計画的に取り入れることが示されています。
本書を執筆した太田正己先生は、「よりよい授業づくりを目指すとき、授業における『まとめ』を単に形式的に『導入‐展開‐まとめ』という授業過程の時系列の終わりとして捉えるのではなく、『授業展開のまとめ』として捉え直すことが必要である。」と述べています。
長きにわたり特別支援教育の現場に携わってきた筆者が、様々な学習指導案や研究授業を具体的に例示しながら、「見直し」と「振り返り」を授業づくりに生かす方法や「授業展開のまとめ」という捉え方について、分かりやすく提案しています。
本書の構成
本書は、
第1章 特別支援学校の授業と「見通し」
第2章 知的障害特別支援学校の「振り返り」学習活動
第3章 授業展開のまとめと授業意図
第4章 「まとめ」と学習評価
第5章 東井義雄の「終末」論
第6章 「まとめ」のための評価言
第7章 授業過程の多様性と「まとめ」
という7つの章で構成されています。
本書を読むことで、「まとめ」の時間は、授業終了前に挨拶や後片づけ、次時の予告をして終了とするものではなく、子供と授業者の双方にとって、重要な学習活動であるということに改めて気付かされます。
授業を受ける子供にとっては、「まとめ」の場面で、それまで学習活動に取り組み、学んできたことの意味が明確につながります。一方、授業者にとっては「まとめ」の中で、授業展開における事柄を改めて統一し、意味のあるものにする必要があります。
「見通し」と「振り返り」を関連づけることが大切
授業の終わりに「まとめ」として「振り返り」を行うだけでは不十分であり、授業のはじめにしっかりと「見通し」を立てることが「振り返り」につながり、学習内容の定着に結びつけることができる、と筆者は述べています。
本書を読むことで、自らの授業を見つめ直し、授業のあり方を考えるよい契機ともなります。是非、ご一読ください。
(筑波大学附属桐が丘特別支援学校教諭 大塚 恵)
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