教育現場へ浸透するICF
新しい特別支援学校学習指導要領の解説書の「総則等編」及び「自立活動編」では「ICF」という文言が明記され、その考え方を参考にすることが述べられています。これに伴い、特別支援教育を実践する学校現場では、個別の教育支援計画の作成や授業改善等においてICFを活用するケースが増えてきており、今後も教育現場におけるICFへの注目度は高まっていくでしょう。
本書は国立特別支援教育総合研究所が先導的に取り組んできたICF/ICF-CY活用ツールの開発・実証の経過と、実際の活用事例を紹介しています。
第1章 総論:特別支援学校においてICFを活用するということ
特別支援教育におけるICF/ICF-CY活用についての考え方が整理されています。
第2章 活用を支えるツールとツール活用事例
著者である国立特別支援教育総合研究所の研究で開発・実証を進めてきたICF/ICF-CY活用支援ツールのうち、全体像版と主訴対応版のICF関連図作成手順、ICF-CY活用支援電子化ツール、ICF-CYチェックリストを取り上げ、その開発・実証の経過とともに実際の活用事例が紹介されています。また、この章で活用
されているICF-CY活用支援電子化ツールは、CD-ROM形式で本書の付録になっています。
第3章 特別支援学校での活用
視覚障害・聴覚障害・知的障害・肢体不自由・病弱の全障害種の特別支援学校でのICF/ICF-CY活用実践について、校内のみならず関係機関等との連携実践も含めて紹介しています。
第4章 通常の学校での活用
通常の学校での実践及び特別支援学校のセンター的機能での活用実践等について紹介しています。
第5章 キャリア教育とICF
昨今、特別支援教育の中で同時に取り上げられることが増えてきているキャリア教育とICFの活用について整理し、実践事例を紹介しています。
第6章 活用を進めるために
活用を支えるWebツールや研修、事例検討会の取組紹介とともに、実際に活用している人からのニーズが高いICF/ICF-CYと自立活動の内容との適合性の検討結果について説明しています。
本書はICFの考え方をもとに子供たちの姿を捉え直し、今まで気づかなかったことや新たな発見から、確かな実践のヒントになる一冊となるでしょう。
(筑波大学附属桐が丘特別支援学校 大川原 恒)
|