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改訂版 肢体不自由児の教育

川間健之介・西川公司 編著
 

A5判 208ページ

本体価格2,000円+税 放送大学教育振興会

 本書は、放送大学の「肢体不自由児の教育」科目のテキストとして編集・発行されたものです。
 この科目は、肢体不自由児の教育についての基礎・基本を学び、障害の多様な肢体不自由児に適切に対応するために設けられた科目です。本書では、肢体不自由児の心理・生理・病理、教育課程及び様々な指導法について解説しています。
肢体不自由教育の歴史と現状、肢体不自由児が学ぶ場
 まず、肢体不自由教育の歴史について整理し、その発展と現状について理解します。インクルーシブ教育の推進により、特別支援学校をはじめ、特別支援学級や通級による指導、通常の学級において、様々な学習活動が行われるようになってきています。その概要についても解説されています。
肢体不自由児の生理・病理
 肢体不自由の原因となる疾患として最も多い脳性まひを中心に、二分脊椎、筋ジストロフィー、骨形成不全症などについて解説し、筋や骨の萎縮を防ぎ、運動機能を向上させるためのトレーニングについても取り上げています。
肢体不自由児の心理
 社会性やコミュニケーション、認知・思考など、乳幼児期の発達過程と、肢体不自由によって生じる課題について、詳しくて解説しています。また、障害特性の理解を深めるため、視知覚や知能、パーソナリティーなどについても述べられています。
肢体不自由教育の実際
 ここでは、自立活動の指導、身体の動きの指導、コミュニケーションの指導、各教科の指導、重複障害児の指導、重度・重複障害児の指導、キャリア教育と進路指導を取り上げて、基本的な考え方を踏まえ、それぞれの具体的な指導について解説しています。
 肢体不自由児の指導において重要な指導領域である自立活動については、教育課程上の位置付けや個別の指導計画の作成手順まで、基本から発展まで丁寧に述べられています。また、身体の動きやコミュニケーションの指導について詳述されており、日々の指導を見直し、確認することに役立つと思います。
新たな取組と今後の課題
 最後に、平成24年7月にとりまとめられた「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進」を受け、「合理的配慮」や「センター的機能」など、今後の課題や新たな取組についても触れられています。
本書は、肢体不自由教育の基本から専門性の確立まで、幅広い内容が網羅されています。ぜひ、お読みいただき、日々の実践に役立てていただきたいと思います。

(十文字学園女子大学 吉川 知夫)